深い青の瞳がじっとこちらをとらえている。熱のこもった視線に自然と鼓動が早くなる。
「十代さん」
名前を呼ばれびくりと肩が揺れた。
「好きです」
どくり、とひとつ心臓が大きく鳴る。
嬉しい、悲しい。幸せ、辛い。
相反する感情が溢れて胸が苦しい、頭が痛い。
情けなく震える唇を必死に動かし一言だけ呟くように言う。
「…ごめん」
遊星の顔が悲痛そうに歪んだ、ずきりと胸の奥が痛む。本当はありがとう、と言いたい。俺も遊星が好きだと。
でも受け入れる訳にはいかないのだ。
自分はユベルと融合し、普通の人ではなくなった。歳はとらないし、ちょっとしたことでは死なない身体になった。
いつか決定的な別れがくるだろう、それを自分は耐えらだろうか。想像するだけで絶望感におそわれる。
だったら最初から望まない方が良い。
時間が経てば遊星も俺のことを忘れる、その気持ちも熱も冷めていくだろう。
泣きたい気持ちを必死に抑え、小さく笑みを浮かべた。
「さよならだ、遊星」
その時遊星がどんな顔をしていたか分からない。
小指からするりと何かが解けた。
END
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