その連絡を受けたのは数日前。
親友からだった。
カードが消えた、それも自分だけではなく各地でカードが消えている、と。
その原因を探るため、ヨーロッパまでやってきた。
深夜の広場はしんとしていて自分たち以外の人の気配も精霊の気配も感じない。この付近で白いドラゴンを見たという情報を確かめるために来たのだが何もないことに僅かに落胆した。
『十代』
呼ばれて振り返るとユベルが少し高い位置からこちらを見下ろしていた。
『何も気配を感じないね』
「そうだな」
辺りを見回してひとつ頷くと横から声がかかる。
『誤った情報だったかもにゃ』
大徳寺先生がゆると首を傾げてそう言うのにそうかもな、と苦笑する。
結局何の手がかりもない。
どうしたものかと僅かに思案し、建物の上から探ってみることにした。
ぐっと膝に力を入れ、跳躍すれば簡単に屋根の上へと上がれる。
「ここならよく見えるし、何か分かる…っ!?」
はずだ、と続けようとしたが背後から強い力を感じ振り返る。
よく知る白いドラゴンがこちらに向かって攻撃を繰り出してきた。
「やべっ」
全速力で走り何とか躱すが、次々と攻撃をしてくる。屋根から屋根へとジャンプして避け、最後の一発を躱し地面へと着地する。
「危ねえ危ねえ」
見上げれば二体のドラゴンがこちらを見下ろしており、そのドラゴンたちは紛れもなく友のカードたちだった。
彼らは実体化して自分を襲ってきた。一体何故、そんな疑問が浮かぶが今は次に繰り出される攻撃に備えなくてはならない。
「ネオスを召喚!」
友の大切なカードたちを絶対に取り戻してみせる。そう決意し、カードをセットした。