ネタ会話文 | ナノ







「先輩って俺のこと好きっすよね。」
「……は?」

何を言ってるんだ、コイツは。
目の前の後輩を蔑むような目で見てみるが、彼は相当自信があるようで、あたしから目を反らさない。寧ろキラキラした瞳で見つめられている気がする。

「あたしのどの辺が赤也を好きなわけ?」
「だって名無しさん先輩、練習中とか俺のところによく来るじゃないっすか!」
「いやいや、行ってないし。」
「そんなことないっすよ!」
「もしも沢山会ってるとしたら、それはあたしが行ってるんじゃなくて、赤也が来てるんでしょ。」

何でいつもより冷たく接してみたりしてるのに、コイツは全く引く気配がないんだ。馬鹿か?馬鹿なのか?
そもそもあたしは、このテニス部で誰が好きとかどうとか考えたことがない。というより、考えたくもない。皆カッコいいとは思うけど、正確に問題がありすぎる。約一名はカッコいいとすら思ったことがないけど。

「んー、じゃあ、今から好きになってくださいよ!」
「……え?」

何だ、その理不尽な発言は。強制的に好きにならなければならない、なんて有り得ない。あたしの「誰かを好きになる権利」は何処へ?別に赤也が嫌いなわけじゃない。寧ろ可愛くて、後輩としては大好きだけれど、彼氏とかそういう風に見れない気がする。

「…………んー、考えとく。」
「えー!それ、絶対考えておかない人の台詞っすよ!」
「だってなんか、んー……」
「じゃあ約束っすよ!来週までに考えておいてください!俺、本気で先輩のこと好きなんすからね!」

言い逃げ、とでもいうのだろうか。喋りながら走り去る赤也に、あたしは開いた口がふさがらなかった。


それを最初に言えよ!

20120124.闇風光凛






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