「あ、利吉さん!」


「静かにしろっ!」



おっと、怒られた。そうだった。今、忍務中だったね。利吉さんを見つけて嬉しくて浮かれちゃったよ。うっかり隣の木の枝まで勢いで来ちゃったけど、今は敵陣の中。利吉さんとお仕事だなんてめったにないんだから頑張らなくちゃ…って。



「きゃぁぁぁっ!」



足が滑った。やばい、このままじゃ真っ逆さまに落ちちゃうっ!
あれ…?落ちない。どうしてだろう。宙ぶらりん状態だよ?



「いいかげんにしろ、真宮。」



あぁ、利吉さんが私の袴を掴んでくれたのか。だから落ちなかったのね。さすが利吉さんだなぁ。



「ありがとーございまーす。」


「礼はいいから、早く上がってこい。」


「はーい。」



利吉さんがゼハゼハしてる。私、そんなに重かったかな。これでも体重気にしてるのに。



「利吉さん…?」


「大丈夫だ!それよりも、何故お前がここにいるんだ。」



何でそんな怪訝な顔をしてるんだろう。私もくの一だよ。あ、あんまりお仕事はないけどさ。フリーの売れっ子忍者とは違うのよ。でも、おかしいな。今回は一緒の忍務じゃないの?



「利吉さん、味方ですよね?」


「…君の服装を見る限りではとても仲間だとは思えないのだが。」



へ?どういうこと?サングラスはしてないけど、私、ちゃんとドクタケの忍者装束着てるのに。何で何で?



「さすが小松田くんの親戚だな。」


「秀作は元気ですかー?」


「やれやれ、君が敵では忍務どころではないな。」



あれ、体が浮いた?利吉さんに担がれたのか。さっきゼハゼハしてたのに大丈夫なのかなぁ。



「さて、忍術学園に行くか。」







忍務成功?
(ギャラよりいいものが手に入ったな。)
(何か言いましたかー?)



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