どうしよう、小松田さんがついてくる。私、サインしなきゃいけないことあったかな?外出のときも、ちゃんとサインしたはずよ?それに誰か出入りするときは必ず小松田さん出てくるじゃない。私が追いかけられてる理由が分からない。



「待ってください!これに、サイン…!」



走って走って、ようやく振り切ったと思ったのに!まぁ、別に小松田さんのことが嫌いだから逃げてるわけじゃない。むしろ、好きかもしれない…。ってあれ?私、この状況を楽しんでるのかな。小松田さんに追いかけられるなんてめったに無いことだからなぁ。ぼーっと考えていると『サインしてくださーい!』という声が聞こえた。段々近くなってるみたい。どこか隠れられそうなところ…あっ!ちょうどよく、すぐ側にあった繁みに私は潜り込んだ。小松田さんなら通り過ぎて行くに違いないと思ったのだ。しかし、それは甘かったようだ。



「サ イ ン !」


という声と共に見事に繁みから引っ張り出された。目の前に勢いよく一枚の紙がつきだされる。それに気圧されて、私は少し後退る。紙も近いけど小松田さんの顔も今までないくらい近い。『ここにハンコもお願いします!』という声が間近で聞こえる。自分の顔が紅くなっているのが分かった。やっぱり、これ以上は堪えられない。



「分かった、サインするわ。」



無言で自分の名前を書き込み、そしてハンコを押す。何か負けた気分。全く小松田さんってサインをもらうことにかけては右に出るものはいないっていうか何ていうか…。
それにしても、これは何のためのサインだったのだろうか。小松田さんは横で嬉しそうに紙を抱き締めている。



「わーい!これで僕たち夫婦ですね!」


「え!?あっ、ちょっと…!!」


小松田さんはそれだけ言ってさっさと行ってしまった。私はおいてけぼりにされた頭で考える。さっき小松田さんは『これで僕たち夫婦ですね!』とかさらりと言ってたような。うん、言ってた。ということはまさか!






ハンコもサインもお願いします!
(早く婚姻届け受理してもらおうっと!)

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