君の安らかな寝顔を見ていると涙が出てくる。
なまえの横たわるベッドが重みでギシリと鳴いた。吹雪は誰にも気づかれることなく女子寮に、そしてなまえの部屋に侵入していた。
なまえは明日香の友人で亮とも仲が良い。もちろん同級生の十代や翔たちともよくデュエルをしていた。なまえはとても強く明るく、僕には魅力的な人だった。誰からも好かれ、笑顔などは最高に可愛らしい。僕に告白してきた時の恥じらう姿は忘れることは出来ないだろう。
なまえは知っていたかな。分かっていたかな。僕がどれだけ君に惑わされてきたかを。



「なまえ……」



名前を呼んでも起きる気配はない。君は最後まで気付いてはくれなかった。少しづつ少しづつ毒は溜まっていった。亮に明日香に、同級生たちに近づく度に。ひとつひとつはほんのわずかな不快感しか生まない。だけどね、一回溜まったものを取り除くことはとても難しいんだ。特にこびり付いた感情はね。
綺麗ななまえの頬をそっと撫でた。これからこの手で壊すものをまるでガラス細工のように扱うなんて馬鹿げている。それは自分が一番よく分かっていた。



「愛してるよ」



キスをしたなまえの頬に涙が零れ落ちた。まるでなまえも泣いてくれているようだ。その姿は暗闇でも月明かりに照らし出され、とても美しかった。
そして僕は、また泣きたくなった。





ごめんね

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