「君が此処に来るというのはこのルーンの瞳が告げていた」



何度聞いた言葉だろう。行く先々にこの男は居る。運命だ何だ言っているが新手の勧誘だろうか。私はお金は持っていないのだけれども。結婚詐欺するなら相手間違ってますよ。



「全くあなたは何が目的なんですか?」


「うむ、実は君を私の家に招きたいと思っている」


「すみませーん!セキュリティのお兄さんはいらっしゃいませっ……んむっ!?」



(待って!息が!出来ない!口塞ぐのはやめっ!)



しかもセキュリティのお兄さんはむしろ私の方に不審者を見るような目を向けてさっさと行ってしまった。ちょっとちょっとセキュリティ機能してるんです?それともこの結婚詐欺男が権力でも持ってるの?何それ危険。



「むがっ……うむむぅっ!」


「おっと、ルーンの瞳が君の発言を遮るよう告げている」


「うーむーむっ!」


「ん?」


「ぷはぁっ!ちょっと!窒息しかけたじゃないですか!」



しかもこれルーンの瞳は絶対関係ない。咄嗟の判断でした、確実に。その前にルーンの瞳って何。



「とにかく、明日は君の家に迎えに行くから準備をしておいてくれ」


「はい……?」



それだけ言ってあっさりと男は帰っていった。名前も聞いていない。聞かれていない。だと言うのにあの自信はなんだ。いや、容姿自体は整っている。あれくらいなら騙される人も居るのかもしれない。自分は大丈夫だと言い切れないところがあのストーカー男の恐ろしいところだ。騙される騙されない以前に毎日来るからねあの人。ルーンの瞳勧誘お断り。私は普通の平凡な人間でいいんです。もし家の前に居たら全力で通報していいよね、うん。通報してもセキュリティ来なかったらデュエルで潰す。全力で行く。さっき助けてくれなかった恨みは残ってるんだから!







来ないで下さい、ハラルドさん

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