部屋の隅にある本棚。キチッと収まり並ぶのはデュエルや戦術に関するもの。それと、アカデミア時代の古ぼけた教科書。何度も何度も読んだのだろう。端が少し擦りきれている。なまえが手に取った本はあのクロノス教諭がよく薦めていたものだった。



「なまえ、どうした」


「ごめんなさい、何だか懐かしくて」


「いや、気にするな。ん、それは」



亮の目がなまえの手元を捕らえた。



「随分と機械族について勉強をしていたのですね。
熱心なのは知っていましたが……」



ペラペラと軽くページを捲っていくと日に焼けていない新しいメモと付箋を見つけた。



「今も、読むのですか?」


「初心に返ることは悪くない」



そう言ってなまえから本を受け取り、そっとしまい込んだ。
変わっていない。変わらない。そう思うと嬉しくて。優しく微笑んだなまえを亮は不思議そうに見ていた。







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