「もーくーばーくーん!はい、これ」



手渡されたのは青と白の2枚の短冊。今日は七夕。7月7日。



「短冊…?」


「うん、1枚はね!」



今日は俺の誕生日。
でもきっと兄サマは忙しいに違いない。七夕ということで海馬ランドでは様々なイベントが行われていた。ここ何週間は兄サマもその準備に追われていたんだ。イベントだし、下手をすればいつもの倍の来場者数。万が一に備えて万全の体制を整えておく必要がある。それは分かってる…。



「どうしたの、モクバくん」



何だか全然楽しそうじゃない。今日はモクバくんの誕生日で七夕なんだよ?何でそんな寂しそうな顔してるの…?



「……兄サマ」


「あ…」



そうか。モクバくんのお兄さんは社長さんだから忙しいんだね。でも、あのお兄さんのことだから絶対モクバくんを悲しませることなんてしないと思うな。きっと何か喜ぶことを用意してるよ!だって誰よりもモクバくんのことを考えているのが分かるもの。



「ねぇ、モクバくん。お願い事書いてみようよ!願いが叶うかもしれないよ?」

「そうかな?」


「きっと大丈夫!」


「…分かったぜい!」



机から取り出した白いクレヨンでモクバくんはお願い事を書いているみたいだった。ちょうど私からは何を書いているのかは見えなかった。何をお願いしたのかな?



「ん…これ…?」



くるりとこちらを向いたモクバの手には白い短冊が握られていた。そう、それは私からのお祝いのメッセージ。



「気付いた?誕生日おめでとう!」


「あ、ありがとな。」


「あ、青い短冊にはなんて書いたの?」


「それは教えられないんだぜい!」


「もう、モクバくんの意地悪!」







小さな彦星の願い
(兄サマみたいなかっこいい副社長になりたいんだぜぃ!)

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