04.傷とともにこの想いを
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「なんでこう直ぐにバレちまうかねぇ…」
銀時はめまぐるしく治療を受け、包帯だらけの体を布団へと横たえていた。
横にはもちろん、高杉という見張りまでいる。
が、しかし、その見張りの高杉は深い眠りに落ちていた。
それもそのはず、昼間天人と壮絶な戦いで先陣を切っていたのが高杉と銀時なのだ。
疲れていないはずがない。
銀時は、息を吐いて勢いよく体を起こした。
「見張りが寝てちゃ意味ねーっつーの」
自分の布団を高杉に掛け、窓の外へ体を半分投げ出すようにして座った。
月が眩しい。
肌を刺すような寒さを感じながら銀時は、ポツリとつぶやく。
「     」
師の名前を。大好きな人を、自分の髪の色を否定しないでくれた人の名を。
ゆらゆらと血のように赤い目は感傷に浸るかのように動く。
寒さで震える身体など、まるで自分の体ではないかの如く、夜風に晒し続けた。


「おい」
びくりと声に反応して銀時の身体が揺れた。
その声音に身体に感覚が戻り、痛みに呻く。
「…あれ、起きたの晋ちゃん?」
冷や汗を流しながら、可愛らしく小首をかしげ、銀時は彼が一番嫌がる呼び方でわざと読んだ。
「夜風は身体に悪ィって、なんど教えれば学習すんだてめーは」
その呼び方にまゆを寄せつつ、高杉は立ち上がり銀時の体を軽々と抱えると窓をしめた。
冷え切って尚且つ、出血多量で青白い顔を見つめ、ぎゅっと抱きしめる。
「ちょ、ちょちょちょえ、何何?なんの前触れ?怖いんですけどー」
どくん、どくんと高鳴る鼓動を隠すように銀時は咳払いをしてあっちこっちに視線を投げつつ、高杉の背中を軽くたたく。
高杉は嫌な顔ひとつせず、その行為を受け入れていた。




やがて、銀時は腕を止めた。
己を抱え抱きしめ続ける男の目が本気であったからだ。
「銀時…」
耳元で囁いて、愛しさをあふれさせ高杉は銀時の鼓動をその胸に感じる。
「好きだ…愛してる」
そして、つぶやくように言葉をこぼした。
驚きに目を見開く銀時の顔は見てやらない。
それは言葉をこぼした瞬間に高鳴った鼓動が自分と同じ気持ちなのだ、と伝えてくれていたから。
高杉は目を閉じた。
カチコチと秒針の音だけが静かな室内に響く。
「そばにいてやる、ずっとだ。もし離れ離れになった時は、どんな場所にいよーが探し出してやるよ」



そして契約の言葉を銀時に捧げたのだ。



 

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