想いの重さ
(鯉伴×リクオ)
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百物語組とゲームをした日から2日。
相変わらず、街には奴良リクオが悪人という偽りの情報が蔓延していた。
リクオはその身におった傷の深さから、未だに床に伏している。
「ったくよ、オメェの身体どうなってんだよ…」
傍らで包帯を巻いていた鴆がため息をつく。
先の戦いで、リクオの体は傷だらけどころの話ではなく、下手したら死んでいたかもしれないほどの深手を数箇所おっていた。
そうして聞いた話によると、人間にやられたらしい腕は見事なまでに骨が折れていて、よくこんな体で持ちこたえたものだと今更ながら感心しなおす。
「これ位でへばってたら百鬼夜行できねぇだろ?」
くくっと夜の姿のリクオが笑う。
「第一、妖怪の俺にはこんな傷へでもねぇ」
いつまでも床に伏してるわけにもいかないしな…と言いながらリクオはその身を起こした。
折れた腕は未だに使用不可能。
「おいおい、無茶すんなっ、まだ完全には…!」
慌てた鴆が止めに入ったが、そこは夜のリクオ。
聞き入ることを知らない。
「もう平気だっていってん…!?」
羽織をはおろうとした瞬間に、体がまた布団に戻っていた。
何事かと驚いているリクオ。
どうやら押さえ込まれたらしい、と理解するまでに数秒かかった。
押さえ込んだ主が言葉を紡ぐ。
「リクオ、無茶すんな」
聞き覚えのある声に釣られて顔を上げれば、見覚えのある癖っげに漆黒の髪。
そして、自分と瓜二つの顔がそこにあった。
「…親父」
忌々しいような、ホッとしたような複雑な顔で鯉伴を睨むリクオ。
「今起きたら傷口開くぜ?」
そんなリクオを尻目に、鯉伴はポンポンと赤子をあやすように頭をなでる。
それがかんに触ったらしい。
リクオは鯉伴の手をはねのけた。
「ガキ扱いすんじゃねー」
「いや、お前俺の子だし」
即座に突っ込んだ鯉伴。
リクオのイライラのパラメーターが上昇する。
口ではこの遊人の鯉伴にはとてもかなわない。
しかし、負けじとリクオは体を起こした。
「んで、親父は今までどこほっつき歩いてたんだよ?」
「んー?そりゃあ、街の見回り…だけど?」
しれっと言ってのける鯉伴。
鴆はその様子をしばらく眺めていたが、ふっと鯉伴と目が合い、静かに部屋をあとにした。
「リクオ」
「あん?」
怒りが収まらないリクオを鯉伴はその場で押し倒した。
「な…!?」
「リクオ、そんだけ動けるなら、傷はもうよさげだな」
その言葉の裏をしったリクオが慌てて首を横に振る。
「ちょ、待て!昼の俺はまだ無理だ!!」
こんな状態で組み敷かれたら確実に、数日身体を動かせなくなる、そう瞬時に悟った。
鯉伴がくくっと笑いをこぼす。
そして、ふんわりとリクオの唇にキスを落とし、ぎゅっと抱きしめた。
「…無事で良かったよ、街中の噂を聞いたぜ…」
リクオは黙り込んだ。
「大変だったな…よくやったリクオ」
見た目に反して華奢なその細い体を鯉伴は愛おしそうに、さらに力を込めて抱きしめる。
「親父…」
たまらずに言葉がこぼれた。
それを待っていたかのように、鯉伴は身体を離しリクオを真正面から見つめた。
「リクオ、絶対に死ぬな。お前は奴良組の三代目である前に、俺の大事な息子なんだからよ…」
「…その大事な息子に手ェ出してんのは親父だけどな」
ぼそっとつぶやいたリクオ。
しまったと気づいたときにはすでに遅く、鯉伴の目が光っていた。
「なんだ、リクオ。手ェ抱いて欲しかったのかぃ?それならそうと早く…」
「ば、違ぇよ!」
さっきまでのシリアスな雰囲気はどこへやら。
鯉伴は完全にあっちモードに突入していた。


そうして、リクオはしばらく床に伏せったままだったらしい。
傍らには必死でご機嫌を取る鯉伴の姿があったとか…。



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原作じゃあ、清継などを家に招いて、そのあと会議開いてるリクオですがwww
まあ、そこは目をつぶっていただきたいw

鯉伴格好良いー!
と原作で萌えてから数日。
なぜかこんなCPが好きになってました(`・ω・´)
親子サイコー!←(オィ)



     

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