印に刻まれた呪い
(リクオ総受け)
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その日、奴良組本家では、ちょっとした騒動が起きていた。

「以上、報告を終了します」
幹部の一人が発言を終えて、自らの席へと体を引っ込めた。
ひとつ上の上座に、右からぬらりひょん、リクオ、鯉伴と並んでいる。
「ご苦労、次」
ぬらりひょんと、鯉伴が見守る中、リクオが会議をしきって話し合いを進めていた。
それぞれの幹部から情報をもらい、リクオは満足げに口元を緩める。
「相手は…俺の好きを伺っている…か」
ふっと笑う。
(面白いじゃねーか…。)
その時、つららが声を上げた。
「リクオ様、どうかお一人で夜の散歩をするのはおやめください!」
幹部連中が次々にうなづく。
それもそのはず。
肝心の大将がフラフラと出かけていては、こちらも守りようがないのだから。
つららの言葉に、リクオはため息をつく。
「仕方ねーな…?」
不意に、視界がぐにゃりと歪んだ気がした。
「リクオ?」
不審に思った鯉伴がリクオに声をかける。
瞬間。
ふらりと、リクオの体が前に傾いた。
「リクオ!?」
鯉伴とぬらりひょんがほぼ同時に叫んで、手を伸ばす。
かろうじて、鯉伴がリクオの着物を掴んでいた。
「リクオ様!!!!」
意識は内容で、ぐったりとしているリクオ。
それを見た幹部連中は騒ぎ立て始めた。
「鴆だ、鴆を呼べっ」
誰かが烏天狗に向かって叫ぶ。
すぐさま鴆のもとへ伝令が走って飛んだ。
鯉伴が、抱きしめるようにリクオを自らにもたれかけさせた。
さっきまであんなに威勢の良かったリクオの顔は、真っ青。
手はひんやりとしているのに、体は熱かった。
「オヤジ…これ、もしかして…」
「間違いないのう…これは白鎌蛇の呪いじゃろうて」



     

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