接吻の意味









血の繋がりなんかよりもっと確かな繋がりが欲しい



たとえそれが惨めで純潔じゃなくとも愛ならそれでいい。

誰にも触れさせず独り占めできるなら幾らでも汚名を着るのもいい。むしろ、それさえも快感なのかも知れない





「ん、……っ、はぁ……」

「や、やめ……お、にいちゃ…!」




二人で木陰に寄り添い暑い接吻を交わす
仁王の綺麗で薄い唇は彼女の唇から首筋にかけて伝うように流れてゆく
鎖骨の辺りに到達すると吸い付き、わざといやらしい水音を立てて所有の証を刻んだ
木陰に身を任せているとはいえ、テニスコートから丸見えで周りのメンバーからは何をしているか丸分かりでなまえは周りからの熱い視線に羞恥心を擽られ唇を噛み締め零れそうになる吐息を吐かずにいたが、どうやらそれが仁王の逆鱗に触れた様だ




「何で我慢するんじゃ、」

「だってみんな見てるし…家帰ったらね、!家帰ったらその、ちゃんと、」

「家帰るまでお預けじゃな、了解」





なまえの額に優しく口付けを落とし、髪の毛を無造作に撫でると少し不満げにテニスコートに足を運んだ

1人木陰に残された彼女は小さく溜池を吐いて近くにあるベンチに腰を落とした
鎖骨にある所有の証に目をやると少し罪悪感が伝った。なまえと雅治は兄妹であり、恋人同士ではない。

異常なまでに執着する雅治を1度拒んでみれば後からの展開は嫌な程正確に想像できる
だから自分の気持ちに嘘をつき、でもそれが自分が傷付かない最善策だ
感情を押し殺すのも簡単だ。ただ兄から与えられる快感に身を委ねればいいだけ、でも行為後の罪悪感とも劣等感とも言いにくい感情に押し潰されるのは未だに慣れない


一度気を許すと、行動はどんどんエスカレートする
先程の様に立海メンバーに見られるなんて日常茶飯事だ。勿論、立海の皆は気付いているだろうが同級生は何のこっちゃ知らない

兄は容姿端麗で俗に言うイケメンと言う類でこれから兄を狙う女子達に妹だからって、なんて事があって私のスクールライフが邪魔されるかもしれない
そう思うと無意識に溜息が零れた


一人ベンチに座り、兄の部活最中を眺める
暇だな帰りたい、なんて愚痴を零しても仁王はそれを許してくれない
なまえは兄に自分のテニスしているところを見るように強いられているのだ
だが時折、察してくれているのか兄は私の元へ足を運び飲み物なら差し入れを分けてくれる







兄が私に向ける恋慕を除けば彼はただの優しい兄なのだ



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