「諏訪さーん。お客さんいるよー。」 小佐野が雑誌を顔に乗せて軽く睡眠をとっていた諏訪の耳元で叫んだ。 「!?…んだよ、普通に起こせよ。」 諏訪は雑誌を近くにあった机に置き、重い体を起こす。 「みょうじさんおーっす。」 「おサノちゃーん。久しぶりー。」 諏訪隊の会議室にみょうじが入ってきた。 みょうじは諏訪隊メンバーに手を振って挨拶する。 「おまっ、何でここにいんだよ。」 「今日、大学に忘れ物してたよー。」 「は?」 みょうじは鞄からがさごそと何かを取り出す。 「はい。」 「あぁ、ライターか。」 「うん!ないと困るでしょ。」 「…けどそれもうオイルがねぇやつ。」 「え。」 ライターを手に持ったままみょうじはきょとんとした。 「さっき新しいの買ったんだよ。」 「え、じゃあもうこれゴミ?」 「あぁ、わりぃな。」 諏訪は、悪いことしちまったな、とみょうじを慰めようとしたら、 みょうじはニコリと笑った。 「じゃあこれ欲しい!」 「はぁ?」 「だって、諏訪さんの使ったライターでしょ?欲しい欲しい!」 「…別にいいけどよ。」 諏訪はばつが悪そうな顔をして「使えねぇよ?それ。」と指をさす。 「別に使わないもん。諏訪さんが使ってたやつ、ってことで欲しいだけ。」 「きもちわりぃな。」 「えー?へへへへへ。」 「なんで嬉しそうな顔すんだよ。」 みょうじは嬉しそうにライターをバッグの中にしまう。 しかし手が滑って地面に落ちた。 「何やってんだよ。」 諏訪は落ちたライターを拾い、みょうじに渡す。 「諏訪さんの指紋ゲット!」 みょうじはハンカチでライターを包み、今度は大事にしまう。 「きもちわりぃな!?なんだって指紋なんか…証拠品じゃねぇんだから。」 「いつか諏訪さんが何かやらかしたときのために指紋をとっておくんだね。」 堤がひょこっと口出しする。 「推理小説好きが。」 「これで照合すれば真実に一歩近づくかもしれない…。」 みょうじも堤にノる。 「おいお前ら俺を犯罪者にするつもりかよ。」 「「ないですないです。」」 堤とみょうじが同時に手をブンブン振り、ハモる。 「どっちかといえば、みょうじのほうが犯罪者だろ。ストーカー。」 「えぇー?そうかなぁ。」 「なんで嬉しそうな顔するんだよバカか。」 「みょうじは諏訪さん公認ストーカーだからね。」 「そうそう。つつみん分かってる〜。」 「いいのか?お前はそれでいいのか?」 「堤さんとみょうじさんって仲良いですね。」 「同い年だもん〜。日佐人寂しい?」 「いや、そんなことないですよ。」 「日佐人には私がいるぞ〜。」 小佐野が日佐人にぎゅーっと抱きつく。 「そうですね。」 抱きしめられる日佐人は照れながらも、嬉しそうな表情をした。 「私もー!」 みょうじも日佐人と小佐野に抱きつく。 「わーい。」 小佐野はみょうじを迎えて、思い切り二人を抱きしめる。 「ちょ、先輩たちくるしい。」 日佐人は嬉しそうな顔をしているが、眉を下げて少し苦しそうな表情をする。 「よしよしー。」 みょうじはというと、二人の頭を撫でる。 兄弟みたいに仲が良い三人を見て、諏訪はため息をつく。 「何やってんだあいつら…。」 「仲いいですねー。」 「ガキが増えた。」 「諏訪さん、あそこに混じってこなくていいんですか?」 「いかねーよ。」 「行ってきてもいいですよ?」 「行かねーよ!」 この後、諏訪隊が任務があると言いでかけたが、みょうじは「隊室で待ってる!」と言い、一人でお留守番をすることになった。 |