ああ、ほらまた好きな理由がひとつ増えた  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ※honeyエピローグ後 (続編配信前執筆) 遅くまでかかった公務が終わったあと、セレナを部屋まで送り届けた。 「ありがとう。……また明日ね」 「うん。また明日」 おやすみなさいと小さく手を振ったセレナをじっと見つめると不思議そうに首を傾げる。 「ルイ、どうしたの?」 「今日は一人でも眠れる?」 瞬間的に赤くなったセレナに思わず小さく笑えば、恥ずかしそうに手を伸ばしてきた。そのまま俺の袖口を掴んでくいっと引っ張る。 「ルイが良いなら……」 控えめなお誘いに「良いに決まってる」と答えれば、嬉しそうに微笑んだ。 お互い忙しくなって時間が合わなくても、全部の仕事が終わった夜なら二人で居られる。そんな理由から、最近はほぼ毎日どちらかの部屋で過ごしてた。それなのに今日は「また明日」なんて珍しいことをするから、ついからかってみたくなったのだ。 「今日は引き留めてくれないのかと心配になった」 「だって、今日はルイも疲れてるかなと思って……。自分の部屋でゆっくり休んで貰おうって決めてたの」 招かれたセレナの部屋で二人揃ってベッドに腰掛ける。今日は夕食も済んでるし、このあとはゆっくり出来る時間だからか、俺の調子を気遣ってくれたみたいで嬉しくなる。セレナが俺のことを考えてくれてる。それだけでとても幸せな気持ちになった。 「その気持ちは嬉しいけど、俺はセレナと一緒に居られたら十分だよ」 そう言いながら隣に座るセレナの肩に頭を乗せれば、少しだけ驚いてから緊張気味に寄り添ってくれた。 (恥ずかしがってるセレナも可愛い……) こうやって触れ合うのが未だに慣れないみたいで、いつだって恥ずかしそうに頬を赤くする。きっと今もそんな表情なんだろうと思うと、急にセレナの顔を見たくなった。 「ルイ? どうかした?」 頭を上げて、横から覗き込むようにセレナを見ると不安げにこちらを見返した。 「何でもないよ。セレナの顔が見たくなっただけだから」 案の定、赤くなっているセレナの手を取って口元に寄せる。きっと俺の顔も、同じくらい赤い。 「……俺を選んでくれてありがとう」 ちゅ、と口付ける。何度言っても足りない思いが溢れてきて、今自分がセレナの隣に居ることも、こうして触れられることも、すべてが夢みたいにふわふわしてる。 「そんなの、私の方こそありがとうだよ。……ルイ、好きになってくれてありがとう」 にっこりとセレナが笑った。そんなこと言うから、また好きになってしまう。セレナを好きな理由がどんどん増えていく。 「……ごめん。嘘をついた。さっき、セレナと一緒に居られたら十分だって言ったけど、それだけじゃ足りないみたい」 もう片方の手でセレナの顎を掬い上げて、寸前のところまで寄せた。 「こうやって触れたいと思うし、もっとセレナが欲しいと思う。……セレナのせいで、俺は欲張りになった」 言い終わって直ぐにキスして、ゆっくりと舌でセレナの唇をこじ開ける。足りないんだと伝えるみたいに、何度も何度も。 息継ぎの合間の「私も、だよ」なんて声と濡れた様な目。それら全部にやられてしまって、セレナの肩を押しながら二人してシーツに沈んだ。 fin* |