(♀)
久しぶりに身体を重ねる。ゆるゆると流れる時間の中で、彼の体温だけを、ただ感じる。
自分は幸せだと思う。
こんなに可愛い彼の温もりを、独り占めに出来るのだから。
君は余りに可愛いひと
覆い被さる彼の身体は、しなやかな筋肉に包まれている。そのがっしりとした肉体を見て、彼の事を可愛いなどと言うのは、俺一人かも知れない。
でも、仕方が無いだろう。可愛いものは可愛いのだ。
彼の大きな手は、俺の肌をさらさらと撫でる。彼の唇は、俺の頬に首筋に触れる。
その感触がくすぐったくて。彼のその様子が余りに可愛らしくて。
少しだけ、笑ってしまう。
「何笑ってんの。」
あぁ、気付かれてしまった。
腰の辺りをさまよっていた彼の手が、俺の頬に触れる。俺は彼の手に、自分の手を重ねた。
「お前が、あんまり可愛いから。」
嘘を吐く必要も無いから、正直に答えてやる。顔を少しずらして、彼の掌に口付けた。「…何それ。」
彼は少し頬を染める。拗ねたような照れたような、その顔がまた可愛らしい。
俺はまた笑ってしまう。彼の手が俺の頬から離れた。
「あっ、あん…」
その手はそのまま、俺の秘部に触れる。性急に指を入れられて、俺の身体は自然と跳ねてしまう。
「笑ってねーで、こっちに集中しろよ。」
彼の唇が俺の唇に降りてくる。舌を入れられ、濃厚な口付けをする。歯列をなぞられ、舌を絡め取られて。少し息苦しいが、気持ちいい。
「ん…ふ、はぁ…」
堪らない。声が漏れてしまう。秘部で彼の指が蠢く感触も合わさって、快感に溺れてしまいそうだ。
でも、まだだ。
もう少し、彼を感じていたい。
秘部から指を抜かれる。妙な物足りなさを感じた。
それを伝えたくて、彼の首に腕を回す。ふわふわとした銀髪に指を絡ませた。
すると、彼がくすりと笑う。
「可愛いのは、お前の方だよ。」
そう言って、彼は俺の唇に、触れるだけの口付けを一つ。
行為のものとは別の熱が、俺の顔中を覆った。
そう真っ直ぐに言われると、何だかとても照れくさい。もう、何度も身体を重ねているはずなのに今更、と思う。
彼も、こんな気持ちだったのだろうか。
彼の熱い雄が、俺の中に入ってくる。彼に満たされて、全身が悦ぶのを感じた。
「はっあ、あぁ…んっ」
「可愛いよ、こたろ。」
彼が言う。もう笑う余裕も、恥ずかしいと感じる余裕も無かった。
ただひたすらに、彼から与えられる快感だけを追い求める。
愛しい、愛しい、愛しい。
伝えたくて、抱き締める腕に力を込める。
俺の頬に触れていた彼の顔が動く。虚ろな瞳でそちらを見ると、彼は微笑んでいた。
また降りてくる、彼の唇。啄む様に口付け合って、きっと伝わったのだと確信する。
そしてそのまま、速くなる律動に耐えられず、俺は意識を手放した。
目覚めると、俺の身体は彼の腕の中にあった。
見上げてみると、そこには彼の無防備な寝顔。規則正しい寝息が俺の髪に掛かる。
彼の頬に触れる。自然と笑みが零れた。
「やっぱり、お前は可愛いよ。」
そう言って、俺は彼の少し開いた唇に、触れるだけの口付けを一つ。
唇を離し、彼の顔を見ると、彼の紅い瞳はゆっくりと開いた。
彼の拗ねた顔がおかしくて、俺は笑う。
彼は、笑うな、と言って、俺の唇を塞いだ。
***
三枝様へ。
遅くなって申し訳ありません!1717番リクエスト小説「銀桂で裏甘」、完成致しましたので、三枝様に捧げますv
…えろがぬるい気がしないでもないですね(汗)
管理人は未熟故に、三枝様のご希望通りの出来になっかどうか自信はありませんが、よろしければどうぞ貰ってやって下さいませ!
水樹麻夕。