(瞬きするのが惜しいほど、綺麗な君を見ていたい)


「あん?」
「うっわー…」

これがもし漫画のワンシーンであったのなら、ばったりと効果音ででるはずだ。本当にばったり、会ってしまった。顔も見たくねェ奴に。

「何だ、こんな時間に外出歩いてっとしょっぴくぞコラ」
「いやお前も出歩いてるじゃん?しかも私服じゃん?何ですか、これからお楽しみですかコノヤロー」
「そうゆうテメーこそ、お楽しみのようじゃねぇか。」

そう、俺は今長い黒髪の人と一緒だった。(いや、男だけど。)そいつはオカマになるバイトを終えて、分厚い化粧だけを落とした状態で俺と一緒に夜道を歩いていた(いきさつを話せば長いのでここはひとまずおいておく)。そして深夜十二時を回った今、二人で酒を飲んですでにいい気分。これからやることはもうひとつだ。…って、違ぇええ!

「どうだ、アンタ。そんな天パやめて俺と来ねぇか?いい夢見せてやるぜ、」

ヅラをどうしようか(一応追われれ身な訳だし)迷っていると、気づかない間に土方がヅラに近づいていた。どうやらヅラだとは気づいてないようだ。

「ん、そうか…じゃあな、銀時」
「えぇええ!ちょ、何言ってんのお前…!落ち着け!」
「いや、どうせならいい夢が見たいじゃないか」
「そうゆう問題ぃいい!?そんなにいい夢みたけりゃ俺が見せてやるって!」

いい感じに酔いがまわっているようで、ヅラはふらふらと土方について行こうとする。のを、何とか腕を掴んで止める。

「うちの子勝手に口説かないでくれますか」
「こんな別嬪さん、テメーにはもったいねェ。その手を離せ。」
「いやそれこっちのセリフだから!何腕掴んでんの!」
「いやテメーこそ掴んで…」
「俺はいいんだよ!お、おまわりさァアん!ここに不審者が、」
「なんだ」
「そうだったお前かァアア!」

俺たち二人に両腕を引っ張られているヅラはかなり機嫌が悪くなってしまった(これも全部この予想外の展開のせいだ)。

「銀時、俺は帰る」
「は?ちょ、待てって!」
「今日はこの辺で見逃してやる」
「いやお前のせいだからねこれ。頼むから財布落とせ。全力で財布落としてくんねーかなまじで、」

後ろからまだごちゃごちゃ言ってる土方をそのままに、少し離れてしまったヅラを追いかける。

「ヅラー」
「ヅラじゃない、桂だ。」
「こたろ」
「…なんだ」
「あー、その、飲み直すか。今日はあいつら帰って来ねぇし。」
「そ、そうか」
「何、期待してんの?」

にやりと赤くなった耳元から覗き込めば、小さくうるさいと返事が返ってきた。土方の知らないこいつの顔を知っているだけでなんだか嬉しくなる自分に苦笑いをした。

「いい夢見させて、くれるのだろう?」
「当たり前、いつもフルコースだろ」





***





和田点子様のサイト「虫歯」の7100番のキリ番リクエスト小説として頂きましたv
酔っちゃったヅラ可愛い!焦る銀さんも可愛い!お邪魔虫な土方さん、ナイスです^^
点子様、ありがとうございました!




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