(銀高/♀)
突然の訪問者。
月が美しく輝くこの夜に、あろう事か、その人は窓からやって来た。
「よォ。久しぶりだなァ。」
妖しく笑う、懐かしいその人。
「言わなかった?次会ったら全力でぶった切るって。」
「誰も見てねェから、いいんだよ。」
余りに自由奔放だ。つい、俺も笑ってしまう。
高杉は俺の傍に寄り、首に腕を絡めてくる。妙にねっとりとしたその手つきに、彼女がここに来た意図を知った。
「何?欲求不満?」
「そうなんだァ。どうにかしてくれよ、銀時。」
高杉は返事を待つ事無く、俺の唇に食らいついてきた。
輝く月は知っている
「あっ…はぁ…」
神楽がここに居なくて良かったと思う。押し倒したこの人に、声を我慢させる必要が無いからだ。
今日はたまたま、神楽は新八の家に泊まりに行っていた。
これは偶然なのか、それとも、この訪問者は分かっていたのか。それは、俺の下に居る、彼女だけが知る所。
特に知る必要も無いから、敢えて聞かないが。
「ふっ…何、考えてんだァ…?」
何処か余裕の無い声で、高杉が問うてくる。
そりゃそうだろう。さっきから、記憶の中にある限りの彼女のイイトコロばかりを、焦らす様に触れているのだから。
耳元に唇を寄せ、縁に舌を這わせる。
「何でもねェよ。」
そのまま耳朶を甘咬みしてやれば、高杉の身体が小さく震える。
昔と変わらぬ白い肌と、小さな乳房の感触を堪能した後、秘部に指を這わせる。
ただ、中には入れてやらなかった。
「ん…今日は随分と、焦らすなァ…銀時ィ…」
高杉が言う。妖しく笑うその顔には、汗が一筋流れていた。
反対の手でそれを拭い、彼女に口付ける。侵入した俺の舌に、彼女の舌が絡んでくる。
秘部に指を一気に二本入れる。バラバラに動かすと、彼女が苦しげに熱い息を吐いた。
それでも俺は、唇を解放してやらなかった。
「んぅっ…は…」
しばらく突起を指でいじってやれば、更に高さを増す、高杉の声。
「あっあ、…ふあああぁぁっ!」
「………くっ」
高杉が達すると、同時に自身を締め付けられる。すぐに引き抜き、彼女の腹を白濁の液体で汚した。
二人、肩で息をする。高杉の瞳を見てみたら、彼女も焦点の定まらない瞳で、俺の顔を見ていた。
堪らず高杉に口付ける。舌を絡ませれば、彼女が俺の背中に腕を回してきた。
俺の下半身はまた堅さを増す。それに気付いた高杉に、元気だなァ、と笑われた。
うるせェ、誰のせいだ。
俺はそう言って、また高杉の唇に食らいつく。
彼女が意識を失うその時まで、俺達は行為を繰り返した。
「行くのか?」
布が擦れる音に目を覚ますと、高杉が着物を着、窓辺に向かおうとしていた。
窓の外は、少しだけ明るくなっている。もう夜明けが近いのだ。
高杉は振り返らない。俺の問いに、あァ、と短く答えるだけ。
「もう、止めれば?」
何を指しているのかは、言わなくても分かっているだろう。
俺は、言ってから少し後悔した。何故なら。
「…寝ぼけた事、言ってんじゃねェよ。」
彼女からの返答が、どんなものか分かっていたからだ。
そして分かっていても、改めて言われれば、胸の辺りがちくりと痛むからだ。
高杉を見る。その背中が何を物語っているのか、ここ数年、傍に居なかった俺には分からない。
もどかしい。昔なら何も言わなくても、互いの言わんとしている事は、手に取る様に分かったというのに。
「誰も居ない夜になら。」
ほぼ無意識に口から出た言葉。一瞬、続きを言う事を躊躇った。
それでも続きを言おうと思ったのは、高杉が歩みを進めずに、俺の言葉を待っていたからだ。
「また来てもいいよ。」
高杉が振り向く。とは言っても、俺から見えるのは、顔の左半分を覆う包帯だけ。表情は窺えなかった。
だが、口元が笑っているのだけは、見えた。
「気が向いたらな。」
窓から立ち去る、懐かしいその人。
俺の目に届くのは、次第に明けていく藍色の空だけ。
彼女を照らした月だけが、今宵の出来事を知っている。
そして、俺達は。
太陽の下で、もう昔の様に会う事は出来ない。
***
朱雀誠様へ。
お待たせ致しました!1800番キリリク小説、完成致しました!
朱雀様のみ、お持ち帰り&展示可です。
何というか…暗くてすみません;;
朱雀様のご期待に添える出来かどうか、自信はありませんが…よろしければ貰ってやって下さいませv
水樹麻夕。