(銀桂)





美しい嗚咽で満たしてよ





「あっ、や…」

桂を後ろから抱き込んで、着物の袷から手を差し入れる。その滑らかな肌を撫で回しながら、首筋を舐め上げる。時折吸い付いて赤い痕を残す度に、あがる桂の媚声が堪らない、堪らない。

「もっと、聞かせてよ。」

きゅ、と胸の頂を摘めば、より高くなる声。
俺は笑う。桂からは見えていない。きっと、いやらしい笑みになっているのだろう、その自覚はある。

「ん、あ…あ…」

指先でぐりぐりと乳首を押し潰す。甘く乱れた吐息を吐く桂の耳を甘噛みしてやった。
空いている手で帯を解き、その素肌を露わにする。外気の冷たさからだろう、桂の身体が少し震えた。

「すぐに、熱くなるから。」

耳に唇を付けながら、熱を込めて言ってやる。それにまた震えた細い身体が、愛しくて仕方が無かった。
下着の上から桂の自身に触れる。すでにしっとりと濡れ、下着に収まっているのが辛そうだった。

「ん…ぎん…」

下着ごと擦ってやれば、桂の息が更に乱れる。下着を押し上げて、より大きく主張する桂自身。その先端を、ぐりぐりと刺激した。

「ひぁっ!あ、やぁっ!」

狂った様に首を横に振り、惜しげも無く声を出す。それを聞く度、胸の奥が快感にぞくぞくと震えた。
口を噤もうとした桂の咥内に指を入れる。絶対に声を抑えさせはしない。
舌を二本の指で軽く挟む。すぐに放してやると、俺の意図を理解したらしく、桂の舌が指をねっとりと舐めた。

「んふ、ふぁ…」

「そう、いい子。」

下着を取り去り直に桂自身に触れる。すっかり勃ちあがったそれは、ぬるりとした先走りの密を垂らしていた。
上下に緩く扱いてやる。ふるふると震えた桂の頬に口付けると、僅かにしょっぱい滴が流れた。泣いている。

俺は心が満たされていくのを感じた。俺の手によって与えられた快感で、桂が甘い息を吐き、泣いている。何とも言えぬ満足感。
愛しい相手が泣いているのを見て喜ぶなんて、俺も相当にサディスティックだな、なんて呑気に考えてみる。

「あ…もっと…」

「ん、なーに?」

分かっていて敢えて尋ねる俺は、やはりSっ気があるらしい。耳朶に吸い付いて、それじゃ分からないよ、と言ってやった。

「もっと、強く…」

「強く、どうするの?」

先端を桂の唾液が付いた指で、くるくると極力優しく擦ってやる。もどかしいのだろう、桂が自ら腰を揺らし始めた。

「んぁ…強く…擦って、欲しい…」

顔を真っ赤にして、恥辱にまみれた表情で桂は言う。俺からは横顔しか見えないのが少し残念だが、それでもやっぱり、最高。
俺は無意識に、舌なめずり。

「そう、分かった。」

本当はもっと言わせたかったが、今はこれくらいで勘弁してやろうか。
先程より強く握り、先程より速く擦る。

「あっ!あ、やぁっ、ふ、あぁっ!」

桂が俺の肩に頭を預け、快感に喘ぐ。口端から涎を垂らして、その美しい顔が歪む様を、俺は今どんな顔で眺めているのだろう。
元々乱れていた桂の呼吸が更に速くなる。恐らく限界が近いのだろう。他人に高められていく事は、余程気持ちが良いらしい。
俺はすっかり涙に濡れてしまっている桂の頬に吸い付き、舐めた。それを合図に、先端にぎゅっと痛い程の刺激をくれてやった。
その瞬間、桂は背を弓なりにしならせ、叫び声をあげながら絶頂を迎えた。桂自身から出た白濁は、桂の腹を汚していった。

美しい。そう思う。
快感に歪む顔も、腹を汚した白濁も、泣き声にも似た喘ぎ声も。桂の全てが美しい、美しい。

でも、まだ。

「足りねーよ、桂…」

もっと、見せて。
もっと、聞かせて。
もっと、もっと―…

「満たしてくれよ、俺を…」

俺の肩に頭を乗せたまま、ぐったりとしていた桂が俺を見る。その手が俺の頬に触れ、その唇が俺の唇に触れた。
唇が離れた瞬間、俺は桂を押し倒した。無理矢理口付け、舌を絡ませた。
桂の腕が俺の首に回る。俺にはもう、楽しむ余裕など無かった。

ただ、ただひたすらに、欲望を満たす為だけに。
この愛しい人を抱き締めた。





title:夜風にまたがるニルバーナ





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