(幼馴染パロ/♀)





俺の理性が崩壊したあの日、俺達の関係は幼馴染ではなくなった。










思春期シンドローム










俺の腕の中で眠る彼女の頬には、うっすらと涙の跡が残っている。それをそっと指でなぞるが、彼女はぴくりとも反応せず、穏やかな寝息をたてている。
彼女が起きない事に安堵したが、同時に、跡が残るまで泣かせてしまった事に罪悪感を覚えた。泣き叫ぶ彼女を後目に、歯止めが利かなかった自分を情けなく思った。










幼い頃からずっと、抱き続けたこの想い。大切に胸に仕舞っておいて、いずれ優しく彼女に伝えようと思っていた。
彼女は俺の事が好きだ。これは思い過ごしではない自信がある。
彼女は毎日の様に、銀時、銀時、と俺を追い掛けてきて、俺の行く所はどこであろうと付いて来たがるのだ。そして、彼女の俺を見る目は、他の男に対するそれとは明らかに異なるのだ。
彼女のその目が昔から変わらないから、俺はすっかり安心しきっていた。急がなくても良い、時が来たら伝えよう、と。



だが中学に進学して、そうも言えない状況になってくる。

桂の俺に対する態度は変わらない。他の男に対する態度も変わらない。
だが、彼女は時が経つにつれて美しくなっていく。彼女とすれ違う者は皆振り向く程に。
実際、彼女は何度も告白されている。全て丁重に断っている様だが、その後も諦めきれず、彼女を見ている者も多い。
彼女を見る男達の視線。余りにいやらしくて、いくら彼女が彼らに興味を持ってないと分かっていても、余りいい気分ではなかった。

俺自身、昔の様にのんびりと構える余裕は無くなりつつあった。
相変わらずちょろちょろと俺に付いて来る彼女に対し、昔から持つ純粋な恋心とは違う、妙な感情を覚え始めていた。
それが一体何なのか、俺はとっくに気付いている。ダメだダメだと思いながらも、湧き出る妄想を止める事が出来ない。
彼女が隣を歩く事は嬉しい反面、辛い我慢大会の様にも感じられた。





今日も俺は、彼女と共に帰路についていた。そして、彼女が勉強を見てやるからと、半ば無理矢理俺の家にやって来た。散らかっているだの何だのと文句を言いながら、彼女は小さなテーブルの上に教科書を置き、俺の隣に座る。
時折触れる肩。スカートから覗く太股。白く細いうなじ。そして、いつもより近距離に彼女が居る事により漂ってくる、彼女が放ついい匂い。
隣に居る彼女の全てが、俺の情欲を煽る。

いつの間にか俺は、彼女を押し倒していた。驚き目を丸くして、彼女の桜色の唇から俺の名が放たれた時、俺の理性は完全に崩壊した。

無理矢理口付けて、舌を侵入させ、彼女の咥内を味わう。シャツのボタンを外し、手を差し入れて、彼女の乳房の感触を楽しむ。
スカートの裾から手を忍ばせ、滑りの良い太股を撫でる。下着に手を掛け、一気に脱がした。
顔を真っ赤にして抵抗する彼女を押さえつけ、誰も触れた事が無いであろう箇所を俺の手が暴く。
遂には泣き出してしまった彼女を見て見ぬふりをして、俺は彼女の中に雄を突き入れた。
初めて雄を受け入れたそこから血が流れる。痛い痛いと泣き叫ぶ彼女に胸がずきりと痛んだが、止める事は出来なかった。

加減出来ず、痛みを和らげる努力も出来ず、俺は、己の欲望のままに彼女を犯した。








涙の跡を撫でる指の動きを止める事は無く、俺は彼女の寝顔を見つめ続ける。
あどけないその寝顔の上に、幼い頃から俺に向けられてきた笑顔がふわりと浮かんだ。
もう、こんな無邪気な笑顔を向けられる事は無いだろう。そう思うと、目頭が熱くなる。
涙など流すのは何年ぶりか。止まらないそれに俺は戸惑うばかり。
でも、まぁいいか。だって彼女は今、眠っているじゃないか。
彼女の頬から手を離して涙を拭い、鼻を啜る。

「…銀時?」

声が聞こえた。手を目から恐る恐る離すと、彼女の瞳はうっすらと開いていた。

「銀時…泣いているのか…?」

彼女の手が俺の頬に触れる。ひやりと冷たい彼女の手に、俺はびくりと肩を震わせた。

「珍しいな…銀時が泣くなんて…」

まだ寝ぼけているのだろうか。彼女の言葉は途切れ途切れで、少し聞き取りにくい。
彼女の指が俺の涙を拭う。優しいその手つきに、またしても目頭が熱くなった。
彼女は、ふ、と微笑む。堪らなく愛おしくて、俺は力一杯彼女を抱き締めた。

「…!?銀時!?」

やっと目を覚ましたらしい彼女が、はっきりと俺の名を口にする。もぞもぞと逃れようとしているが、絶対に放すものか。
彼女は疲れたのか諦めたのか、急に大人しくなり、俺の肩に頭を預ける。その腕が俺の背中に回り、幼子にする様に優しく撫でる。
ああ、何て愛しい。

「ごめん…俺、好きだ、お前の事…」

今度は彼女の肩が震える。俺は腕の力を緩めた。
彼女の顔を見てみると、頬は赤く、目は下に伏せられている。

「…何か、言ってくれよ。」

彼女の頬を右手で包み込むと、彼女の瞳がゆっくりと俺に向けられる。それはひどく真っ直ぐで、今度は俺が何も言えなくなる。
突然、彼女の瞳が閉じられた。そのまま少しずつ顔が近付いてきたので、俺は彼女の答えを知る。
彼女の唇が、俺のそれに触れる。角度を変えて、啄むように口付ければ、彼女は懸命に応えようとする。
調子に乗って、舌を入れてみる。彼女の舌に自分のそれをゆっくりと絡ませた。

「んっ…ふぁ…」

彼女の苦しそうな声で我に返り、名残惜しいが唇を離す。彼女の唇は熱を持ち、赤くぷくりと膨れている。とろんと焦点の定まらぬ瞳が艶めいて見えて、またあらぬ妄想が頭をよぎる。
ダメだ、と自分に言い聞かせる。これ以上彼女を傷付けたくはない。

「…銀時、好きだ…」

幼い頃から待ちに待った言葉を貰い、俺の胸は熱くなる。またきつく抱き締めれば、彼女もきつく抱き付いてくる。
このまま時間が止まってしまえばいいと、本気で思った。もう彼女を離しはしないと、決意した瞬間だった。



これは、うだる様な暑さが続いた、中学の夏の出来事。




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