シルフモドキ  



「それにしても、シルフモドキは便利な鳥じゃのー」
「どこにいても届くし、いざとなれば非常食にもなるしな」
「食うの!!?」
「シルフモドキの焼き鳥は、心水のつまみに合う珍味だって聞いたことがある」
「あの鳥たちが使いとして飛んでくれるおかげで、俺たちは聖寮を出し抜くことができているんだ。あいつらは俺たち海賊団には欠かせない、大切な乗組員だ。冗談でも食うなよ」
「   はっはっは。だがどういう仕組みなんだ?」
(食わないとは言わないんだな…)
「伝書鳩は帰巣本能を利用して飛ばすもんだが、シルフモドキは旅先の相手にちゃんと届くだろう?」
「シルフモドキはとても賢い鳥で、場所じゃなくて人の出す波長をいくつも覚えられるんだよ。飛ばす人が飛ばす時に念じた波長の違いを感じて、相手を捜して飛んでいくって本に書いてあった」
「へぇー」
「あまり見かけない鳥よね。聖隷の一種だったりするわけ?」
「聖隷ではない。とある北方の島にだけ生息する珍しい鳥なんだ」
「伝書鳥にする為に、お前らが捕まえたの?」
「いや、嵐に遭ってその島に寄稿した時に母鳥が巣ごと俺たちの船に飛ばされてきた。だが、母鳥は間もなく死んでしまってな……ベンウィックが母鳥の代わりに卵を孵したんだ」
「だから、あんなに懐いてるんだね。伝書鳥として躾けるのは難しいのに」
「そういうことをサラリとやるのが、ベンウィックって奴なのさ」
「ベンウィックのクセ毛を見た雛鳥たちが親と勘違いしたんじゃないのかえ?」
「あいつの頭を巣にするほどの結びつきだ。あるいはそうかもしれん」
「シルフモドキが好きな波長でもあるんだろうな」
「そういえば、ついこの前シルフモドキが卵を産んだから頭を叩くなと言ってたな」
「増えるなら、試しにひとつ食ってみないか?」
「おい!」
「駄目だよロクロウ!!」
「   やっぱり駄目か、ははは」
「さっきから何だよ、その間は……」
「はぁ……」


 


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