ホワイトかめにん@  



「トータス、トータス」
「うわっ!何かいるぞ!」
「……亀の業魔?」
「いいえ、業魔じゃないっすよ。オイラは”ホワイトかめにん”っす。驚かせてしまって恐縮っす」
「業魔じゃないなら聖隷か?」
「いえ、かめにんはかめにんっす。諸々のご不審はごもっともっすが、これ以上の追究はどうかご勘弁いただきたいっす」
「お、応……これはご丁寧に」
「へえ〜礼儀正しいな」
「恐縮っす」
「かめにん一族は遣り手の旅商人。俺たちのような裏稼業には何かと重宝する存在だ」
「行商人か。役に立ちそうね」
「はいっす!お客様の笑顔が第一、それが”ホワイトかめ屋”のモットーっす!……ただ、場所が場所なだけにお値段は少々お高めになってしまうっすが―――」
「ああ、それなら仕方な
「嫌よ。まけて」
直球だなベルベット……」
「………まことに申し訳ないっすが、辺境の商売は何かと手間賃がかかりまして……」
「それはそっちの都合でしょ?」
「う……確かにそうっすが……」
「素直に認めたわね。じゃあ、通常価格で手を打ってあげるわ」
「感謝の印にお客様の笑顔ってやつをやっとくか にっ♪」
「きょ、恐縮っす………」


「ははは!凄い値切り方だったなベルベット」
「当たり前の交渉よ。喰い殺して品を奪うよりはましでしょ?」
「……お前、死神より怖ろしいな」
「笑うことしかできねえー…」
「かめにん……」
「あんな変な奴がいるなんて世界は広いよなあ、少年」
「うん」
「ふっ……あっちも俺たちを見て同じことを思ってるだろうさ」
「ははっ!違いない!」
「ふむ、業魔と人間と聖隷と死神の御一行、か」
「………でしょうね」


「うーん……謎だ。あのかめにんって奴」
「かめにんって何だ?」
「名前の通り、かめにんだ」
「だから何なんだ?」
「かめにんは、かめにんだ。行商が得意な種族だと考えればいい」
「あ、これは埒が明かないヤツだよロクロウ。そう思うしかなさそう」
「そうだな名無。ま、ウミガメみたいな甲羅をしょってたし、名は体を表すってヤツか。俺は六番目でロクロウだしな」
(それは生まれた順番を表してるだけじゃ……?)
「僕は二番目の使役聖隷だから、二号……」
「おまっ、それは違うだろ」
「ああ、それは名前じゃない、ただの称号だ」
「………?」
「いい加減、少年にも名前を付けてやらんとなあ」
「……僕の、名前………」
「いい名前付けてやりたいよな!次街に着いたら軽く文献漁るか。あ、でも古代語の本は聖寮が片っ端から回収してるらしいし、普通のとこじゃ置いてないな」
「…………」


 


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