『君に、ジェラシーU』

ねぇ、君が僕をうんと愛してくれてた事
知ってるよ。
こんなに安心出来るのは君の腕の中だけ。
だから、絶対離れたくない。
ずっと、ずっと……そばにいてね……?

いつもと変わらない日
新しい香水を付けた。
気に入ってくれたらいいな…。

少し甘い香りが僕の周りを充満する。

ねぇ知ってる?

遠い昔の日に君と僕が行ったデパートの香水売り場で“いい匂い”って君が言ってたんだよ。

「照美?」
「どうしたの、ヘラ」

君はどうして不安そうな顔をしてるの?
どうして、そんなに悲しそうな顔、仕草で僕の髪を触るの?

……どうして、僕の頬をぶつの?

「ヘ、ラ……?」

痛かった。
突然の出来事で。
きっと、君の掌も痛かったろうに。

赤くなる君の手。可哀想に……。
不甲斐ない僕を叩く為だけに赤くなった君の手を見つめて泣いた。

その間も、君が僕を殴る手は止めない。
僕の顔がグシャグシャになるまで。
ヘラ? ねぇ、知ってる……?
僕は、君が思うよりずっと君を愛してる事。
大好きなんだよ……殺したくなるくらいに。


「照美……お前は俺の物だろ? ……なのになんで……っ、その顔を平気で他人に見せるんだ!!」

ああ……ヘラ……君も、おんなじ気持ちだったんだね。

「ヘラ、ごめん……ごめんね……っ」

君は僕を抱きしめる。
ごめんね。いつだって守ってくれたのに……。

君は僕の崩れた姿を見て叫んだ。
何もかもを捨てたように……。
僕を簡単に離してしまって。

「ああぁああぁああ あ あ あ……っ」

涙が、頬を伝ってた。

「……ヘラ」

僕はいつだって君を求める。
強く君を抱きしめる。

「ごめんね……ヘラ……。」

君は泣きながら声を絞り出して僕に訴える。

「照美……俺のそばにいて……。ずっと、ずっと……」

僕は頷く。

「……いるよ。僕は、何があっても…君のそばにいる」

震える手で僕の顔を拭く君はやっぱり、愛を知ってる。

「……ごめんな」
「大丈夫、大丈夫だよ……。だって……、これは、君が僕を愛してくれてる証なんだもん」

心からそう思う。
この痛みが君の愛なんだね。
だったらもう、僕は痛みを感じない。


















僕の傷が消えるとヘラは何かに怯える様になった。
毎朝の、おはようも元気がなくて…
ヘラは僕にマスクを渡した。

少し息苦しくても、君を思えば我慢出来る。
本当だよ? ねぇ、ヘラ君はどうして分かってくれないの?

本当の僕の気持ちを。

僕だってずっと一緒にいたいのに、
ずっと……ずっと……っ。


「照美、俺……ずっと照美と一緒にいる方法思い付いたんだ」




ヘラが悲しそうな顔でナイフを握ってる。

「……可愛い。照美……好きだよ……」

ヘラが笑った。
久しぶりに見たヘラの笑顔は少し恐ろしかった。

「照美……照美、照美照美照美照美……!!」

僕の大好きなヘラが…僕を殺そうとしてる。

「……ヘラっ」

切なくなった。
僕の肌にナイフが突き刺さる度に血が吹き出る。

その血はヘラにかかって君を上手く見つめる事が出来ない。
赤く染まって行く……僕の……ヘラ……

体の痛みは感じない。
だけど胸の奥の痛みだけは うんと 感じてる。

あぁ……僕、死ぬんだなぁ……。

遠のく意識の中で、君の歌が聞こえた
覚束ない声で ゆっくり いつもの君の声で

歌ってる……。

ヘラが僕を抱き し め る  … …











ねぇ、君が僕をうんと愛してくれてた事

ちゃんと知ってたよ。
僕が一番好きな場所は君の腕の中。

だから、絶対離れたくない。
僕が死んでも包んでてくれる?
僕の体がぐちゃぐちゃでも、抱きしめてくれる?

離れたくないんだよ
君が大好きだから、愛してるから……。

……ねぇ知ってた?
本当に、僕が君を好きだった事……。



(2012.10.03)





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -