『なんてピエロ 2』



「ね、ねぇ…ダメそんな所舐め……ちゃああ…っ!!」

 僕の排泄器官は彼によって綺麗に舐めとられる。
 羞恥と刺激に体を支配され、頭がおかしくなりそうだった。

「…もう我慢出来ないな……」

 顔を離すとズボンのチャックを下ろし、自身を取り出すと先ほど自分で舐めた所へあてがった。

「……も、もう入れるの!?」
「ごめん…我慢出来ない…」

 切羽詰まった様に言って、腰をゆっくり下ろした。

「…ぅ、ああ…!!はぁ…んっ」

 舐められて緩くなったのか、僕のそこは信じられないくらいすんなり彼の案外大きいモノを受け入れた。

「入っ、た……っ」

 途中まで侵入を続け、再び僕の足を持ち自分の肩に乗せた。
 ちょっと強引にヒロトくんが挿入して来た為背もたれに背中を預けていた僕は、太ももがお腹に付く位曲がった体勢になった。

「はぁああ……っ! ダメ…深いよぉ…!!」

 曲がった体に突き刺さってくるそれは僕の体の奥深くまで達していた。

「…キツくて気持ちいいよ」
「ん…っ、苦し…ぃ、ぁあ…っ!」

 苦しいのも苦しいのだが、気持ちいいのも確かで…彼が連れて来た猫が鳴いてるのさえ頭に入らなくなった。
 彼が激しく腰を打ち付けるとその度僕は甲高い声を出した。

「もうダメぇええ……っ!! っイ…!?」
「照美…! 俺、も…っ」

 余裕がなくなって、腰を動かす速度を早くした彼はすぐに僕の中に溜まっていたものを吐き出した。
 その後で熱い物が体の中を一巡した。

「んぁあ…は、あ…」
「すごいよ照美……照美の中から俺の液が流れてる」

 すっかり彼の形に開いた穴からは、今出したばかりの白い液がだらしなく垂れていた。

「ヒロトくんのせいでしょ……」

 全部、君のせいだった。
 自分でも驚くほどに君を欲しがる事も、君がいなくちゃ嫌だと感じてしまう事も。

「ねぇ……やっぱり他の人でもこんな風に出来るの…?」
「まぁ、やろうとすれば…ね」

 なんで自分にベタ惚れな相手を目の前にして、この人はそんな事が言えるのだろうと不思議だった。

「それより……今日はもう遅いから、泊まって行ってもいいかな?」
「……うん」

 僕の返事を聞くと、彼は笑って連れて来た猫を撫でた。
 猫はもうすっかり懐いているみたいで、屈託のない笑顔で手を舐めたりしていた。

「お腹…空いてるのかな……」
「そうかもね」

 僕の言葉に頷いた君は猫を抱きながら僕に近付いた。そして耳元で囁いた。

「じゃあ二人で餌買いに行こうか…」
「……そう、だね」

 服を着て外に出掛ける。寒いのは知っていたけど、あえて薄めの服を選んだのは…

「…照美寒くない?」

 君ともっと近付きたかったから。

「寒い……」

 優しい君はやっぱり思った通り、人通りのある道でさえ構わずに包んでくれる。
 恥ずかしいけど、それが堪らなく嬉しかった。

「…恥ずかしい?」
「大丈夫…だから、少しこのままでいて…」
「フフ…」

 息を吐けば息は白いけど、寒さは感じなかった。
 隣に愛する人がいるだけで、それだけで周りなんかどうだってよくなるんだから不思議。

 買い物を済ませて家に帰って、餌をやった。
 よほどお腹が空いていたのか猫は餌に食らいついた。なんだか真っ直ぐに生きてる所を見ると愛しくなる。

「もう寝ようか、照美…」
「…うん」

 正直まだ眠くはなかったけど、布団に入ると眠くなる。
 微睡む僕を包むのは誰より愛しい恋人だった。

「おやすみ…」

 彼の声でゆっくり眠りに就いた。

 朝になって寒くって、隣を見るとヒロトくんはいなかった。

「…あれ? トイレかな……」

 家中を探してみたけど、やっぱり彼の姿はどこにもなかった。
 立ち尽くしてる僕の足元に昨日来た猫がすり寄った。

「……?」

 その首に光る物を見つけて、抱き上げて確認して見る。
 首輪には“ヒロト”と名前が書かれていた。
 彼がいなかった事に少し焦って気が付かなかったけど、テーブルを見たらそこには小さな手紙が置いてあるのに気付いた。

「ヒロトくん…」

 手紙には綺麗な字で“俺はずっと照美のそばにいるよ。サヨナラ。 ヒロト”と綴られていた。

 ねぇ、それはどちらの“ヒロト”が言ってるの?
 “サヨナラ”ってなんなの?

「あの人…なんてピエロなの……」

 僕はいつだって、君に夢中。





(2012/11/23)





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