『無礼者!気安く私に触れるな』




俺を触ろうとした奴にそう言い放った

サラサがいつも言っていたように




するとソイツは俺を睨み付けて、手首についた鎖を引いた



俺が向かうのは処刑台

サラサの代わりに俺は今日処刑される



民衆達は俺を見て罵倒する

まぁ、あれだけ自分勝手やれば仕方ない事だとは思う

それを止めなかった俺も同罪



処刑台に上った俺の首はギロチンにセットされた

無機質な冷たさが首に纏わり付く


あぁ、死ぬんだな





そういやアイツちゃんと逃げられたか

ヘマしてねぇだろうな

捕まってないだろうな



ちゃんと最後まで守ってやりたかったな

アイツが逃げのびるまで見届けてやりたかった


はぁ、今からでもアイツと一緒に逃げたい

まだ言いたい事はたくさんあった


もう言えない

もう会えない






「−−っ」

「!」



名前を呼ばれた気がして民衆の中を見ると、俺と同じ髪の色をした女が立っていた

泣き腫らした顔を向けて、何か言いたげに俺を見つめていた





「−−−−−」





罵倒のせいで声なんか聞こえない

だけどアイツが何を言ったかはわかった


俺もだ、と答えてやりたいのはやまやまだが

今の立場じゃそれもできねェ






俺は王女

お前は逃亡者






−−もう二度と触れることが出来ない








−−ゴーン、ゴーン、ゴーン





鐘が三回鳴った

処刑の時間だ





「何か言い残す事はあるか」





執行人にそう問われ、俺はアイツから目を反らした

そんな顔してんな、ばーか

俺はお前の笑った顔が好きなんだから




俺は空を見上げてこう言った










『あら、おやつの時間だわ』










だから、お前はどこかで笑ってろ





生まれ変わったら

(その時はまた…)






「晋助?何泣いてんの?」

「あ?」


目が覚めた俺にサラサが言った

目を擦ると確かに濡れていた


「わかんね」

「悪い夢でも見た?」

「…」


そうだったかもしれねェ

思い出せねェけど


「なぁ」

「ん?」


そっとサラサを抱きしめて呟いた


「ずっと側で笑ってろよな」



サラサは変なのって笑った




(おい、高杉姉弟イチャつくなー!)

(ばーか)
(仲がいいだけですー)





Fin
2011*11*26



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