「真菜ちゃん大丈夫?」


「え?何が?」



教室を移動している途中。友達からそう言われた

私が首を傾げて答えると、その子は心配そうに言った



「顔色悪いよ…?」


「そう?」



確かに、朝から怠いなって思ってた

だけど疲れがとれてないだけだろうと思って学校に来た


来たはいいけど、身体は怠くなる一方だった

周りから見て具合悪そうに見えるなら大概だろう



「保健室行った方が…」


「冗談やめて」



具合悪いなんて言って保健室行ったらセクハラされること間違いなし

絶対行かない



「えー…でも本当に大丈夫?」


「大丈夫!」



と、言って笑ってみたものの、かなり辛い

まぁ、あと午後の授業だけだし…なんとかなるでしょ


「さぁ、戻ろう戻ろうっ」



私は友達の背中を押して教室に戻った




***




「〜〜〜っ」


これはやばいな…熱が出てきたみたい…

頭痛いし、クラクラする…


諦めて保健室に行った方がいいかもしれない



そう思って、手を挙げようとした時

授業中にも関わらず、前のドアが開いた


「邪魔するぜ?」

「あ?なんで高杉が…」


入って来たのは晋助だった

文句を言う銀ハ先生なんかお構いなしに、晋助はズカズカと教室に入って来た

それから他の生徒には目も触れずに、一直線に私の方にやって来た



「な、何…」

「黙ってろ」


有無を言わさず、晋助は私の額に自分の額を合わせた

周りから悲鳴があがったのは言うまでもない


「熱あるのに何で俺んとこ来ねぇんだ馬鹿が」


「…う」



晋助にそう言われて反論できずに口を閉じる


黙った私を、晋助は一つ溜息をついてから抱え上げた



「ちょっ!?」


「暴れんな、重ェから」



ひょいっと、所謂お姫様抱っこをされて私は皆の視線を痛いほど浴びながら、教室を出た



「何すんのよ!」


「うぜェ…」


「はぁ!?」



私は悪く無いはずなのに、晋助がそんなことを言う

意味わかんない!


イライラして、今すぐにでも晋助から離れたいのは山々だけど、思ったより熱があるのか力が入らない

抵抗する暇もなく、保健室に連れて来られ、そのままベッドに放り投げられた


「…っ」


ベッドが私の体重で大きく軋み、身体が跳ねて痛かった


「おら、熱計れ」

「…ん」


もうここまできたら勘弁するしかない

体温計を晋助から受け取って脇に挟む



「…ねぇ」

「あ?」



ベッドの側の椅子に座っている晋助を見上げながら言う



「なんで具合悪いって知ってたの…?」


そうでなきゃ、晋助がわざわざ教室に来たりしない


そしたら晋助は溜息をついて口を開いた



「教室移動してるお前を見たんだよ…」


「うん…」


「で、顔色悪かったから」


「…え、それだけ?」


「悪ィかよ」



全然、悪くない

むしろ嬉しいくらいだよ、ばか





保健室に拉致られ



(鞄持って来るから寝てろ)

(はーい)





2012*03*03 執筆

BackTOP
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -