「はぁ…遅くなっちゃった…」



塾の帰り道。時刻はもう10時を過ぎ

言うまでもなく外は真っ暗だし、季節的に寒いことこの上ない



こんな時に晋助の送り迎えがないなんて最悪だ


今日に限って先生達と飲み会なんて…

なんなのよ、もう!





帰り道には、晋助達が行ってそうなお店が沢山ならんでる


手当たり次第に店に乗り込んで、晋助を見つけて一緒に帰るのも悪くない

お酒がまわってる晋助になら勝てる気がする



そんな事を思いながら足を止めてしばらくたった時



「…オイ、大丈夫かァ?」


「はい、本当…大丈夫です」



一軒の居酒屋から晋助が出て来た

同時にウチの学校の女性教師も出て来た


綺麗で優しくて、少し変わった先生だと聞いたことがある

私はほとんど関わらない先生だ



「飲みすぎなんだよ…ったく」


「すみません…」



先生はずいぶん酔いがまわってるのか、暗がりでも分かるくらい顔が赤く、足どりも覚束ない


そんな先生はきっともう帰るんだろう



なんだろう…晋助が先生の看病をするのは当たり前なのに…

なんでこんなにイライラするんだろう



「送って行くか?」

「だめぇぇえ!!」



晋助が先生を送って行くと言った瞬間、何かが弾けて叫んでしまった


パッと晋助と先生がこっちを見る

二人がびっくりした顔で私を見てるのを確認して、なんてことしてんだ、と我にかえる


「あ…えと…」


カァッと顔に熱が集まっていって、すぐにどうしたらいいか分からなくなった


「ごめんなさいっ!」



とにかくその場から離れたくて駆け出す



恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい

何してんだ、私


具合悪い先生を送って行くくらい何でもない事なのに

大体、晋助が誰と何しようが関係ないのに

なのに…なのに私っ−−−




「真菜!」

「!!」



名前を呼ばれて振り返ると同時に腕を掴まれた


恥ずかしくて晋助の顔なんか直視できない

俯いたままでいる私に晋助の声が降り注ぐ



「何だよ今の…」


「…何でもない」



晋助が怒ってるかもしれない、なんて思って更に顔があげられない

こんなことで晋助が怒るなんてない

まして晋助が私に本気で怒るなんて、滅多にないことだ



「顔あげろ」

「嫌」


「チッ…」

「!!」



拒絶したら、小さく舌打ちして私の顔を無理矢理上に向けさせた

必然的に目があう


晋助の顔は、なんだか楽しそうに、意地悪な笑みを浮かべていた





か?





(ち、違う…っ)

(ほら、帰るぞ)

(…っ///)





2012*02*13 執筆

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