「さすが先生の嫁。料理うまいなぁ」
「誰が晋助の嫁よ!」
「誰も高杉先生とは言ってねーよーっだ」
調理実習、今日はクッキーだ
作り終わって皆で紅茶と一緒に試食会を始めると、同じ班の男子に茶化された
思わず反論して失敗
更に男子達が面白がる結果となってしまった
「やっぱりお前、保健医とできてんだろー?」
「違うっ」
「いっつもお菓子持っていってんじゃねーか」
「それは、晋助がお菓子好きだからで…っ」
「好きな人には好物をプレゼントってさ!」
「うるさいっ。違うってば!」
それぞれの班が楽しくお茶をしてるなか、私だけは不機嫌だ
勘弁してほしい、晋助のお嫁さんなんて
「じゃあ、このクッキー誰のー?」
「ちょっ」
私の隣に座っていた女の子が、綺麗にラッピングしたクッキーを私から引ったくった
勿論、晋助に差し入れするつもりのクッキーだった
ウチの学校では、先生や生徒に調理実習で作ったものをあげる人は多くて、ラッピング用のリボンなんかを持参する生徒は少なくない
私もその中の一人だ
まぁ、晋助以外に手作りを食べさせた事なんて滅多にないんだけど
「誰にあげるつもり?」
「そ、それは…」
が、今の話の流れから素直に晋助だと答えるのは気が引ける
更に面白がって付け上がるに決まってる
「…銀八先生」
「おー、まさかの」
「高杉先生と犬猿の仲の!?」
咄嗟に出たのは銀八先生の名前だった
でも彼らの言うとおり、先生と晋助は仲が悪い
本来なら口にしてはいけない名前だった
「…ほぉ、初耳だなァ」
「!!??」
突然背後からドスの効いた声が聞こえた
思わずビクッと体を強張らせた
ちらっと周りを見れば、さっきまで私に散々色々言ってた面々は顔を引き攣らせて俯いている
「お前が銀八が好きだなんて」
「っ…別に…」
背後から聞こえた声に私は振り向いて反論しようとした
でも思った以上に晋助の機嫌が悪いことに気付いて口を閉じた
「俺様よりあのクソ天パがいいだァ?ふざけんなよ、馬鹿真菜が」
「……」
銀八先生の名前を口にだしたらこうなることは分かってた
滅多に私に怒らない晋助が怒る…とゆうか機嫌が悪くなる
「そんなにアイツがいいならアイツに■■■して■■して■■■してもらえ■■真菜!」
「なっ!!!」
自主規制ばっかで何言ってるか分からないでしょうが察してください
そしてその場から去って行こうとする晋助
あぁ、もう…本当は銀八先生なんてどうでもいいのに…
「晋助っ」
私は呼び止めると同時に晋助の頭目掛けてクッキーを投げ付けた
ナイスコントロール
「そんなに欲しいならあげないでもない…!」
晋助は少しびっくりした顔をしてそれから意地悪に笑った
(最初から俺のだって言えばいいんだよ、ばーか)
(か、勘違いしないでよっ。別に私はねっ)
(はいはい)
2012*02*13 執筆
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