「ほら、晋助…起きて…」


一生懸命彼を起こそうとするけど、なかなかうまくいかない

深い眠りについているのか身じろぎ一つしない。どうした事か。



「早く起きないと遅刻よ!副医院長!」



妻として遅刻なんかさせられない。何としても起こさなくては。



「晋助朝ごはん無し…!?」


晋助は急に目を開き私の腕を引いて抱きしめる

くそっ。最初から起きてたな…


「早く起きなさい」

「誰に命令してんだよ」

「う…脅したって無駄だからね!」



一生懸命もがいて腕の力を緩ませる

仕方ないなと、不満気に晋助は起き上がり準備を始めた



「ちょっと、口にホットケーキついてるよ」

「あ?」


私が言うと、晋助は手で口の辺りを拭うが取れていない

全く、子供か


「ほら、」


晋助の口元についているホットケーキをとってあげる

そういえば昔同じことをやって、母さんに新婚さんみたいだと言われた事があったな…



「今日はこれでいいの?」

「あぁ」


結婚してから毎朝晋助のネクタイを結ぶのは私の仕事になった

最初は結び方さえ分からなくて苦労したものだ…うまく結べないとお仕置きされるし



「はいできた」


結び終わると晋助は満足そうに笑って私の唇を親指で撫でた


「よくできました」

「…っ///」


何年たっても変わらない。晋助は私を子供扱いする

でも仕方ないかな…実際年下だし




「行ってらっしゃい」

「ん。」


晋助は玄関で見送る私の額に軽くキスを落とした

それから耳元で意地悪そうに呟いた


「今夜は俺のベッドで寝てろ」

「なっ///」









(真菜ー)

(もう、隣だからって毎日来ないでよ、ママ!)

(早く孫の顔が…)

(やめてっ///)



end




2013.02.02 執筆

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