「真菜…」


「行くんでしょ?」


「あぁ」



いつもの如く勝手に入って来た晋助の方さえ向かずに答えた


分かってた。覚悟はしてた。

晋助のお父さんが医者としての技術を磨いたのは、晋助も私もまだ小さい時

海外で医療技術を学んでいた


だから晋助も、海外へ行ってしまうことは、分かっていた事だった



「さっさと行っちゃいなさいよ。あんたの顔見なくてすむと思ったら…」



そう思ったら、涙が止まらなくなった

泣き顔なんて見せられない



「真菜…」

「…っ」



無理やり顔を向けられバチっと目が合う

涙で晋助の顔が少しゆがんで見える


「いじけるなよ」

「いじけてない」


「ぜってぇ帰って来るから」

「当たり前でしょ、ばか」


「寂しくねぇか?」

「寂しくなんか…」

「俺は寂しい」



優しく頬に触れながら、晋助は私の目尻にキスをした

涙の跡を唇でなぞりながら、髪の毛に指を絡める


「お前に触れられなくなる」


耳元でそう言いながら、腰に手を回される


「俺が帰ってくるまで…浮気すんじゃねぇぞ」


「浮気って…別に私達…」


「お前は俺のだ」









(待ってる)
(ずっと待ってる)







2013.02.01 執筆

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