「真菜、帰るぞ」


「えっ。ちょっと待って」



部活の片付けをしてると晋助が来た


正直行ってこっちに来ないでほしい

皆がニヤニヤして私を見るから



「先輩先に帰っていいですよー?」


「あとは私達やっときますからっ」


「え、ちょっ…」



にまにましながら後輩達は私に鞄を持たせて背中を押した

まったく、先輩だと思ってないだろ


「じゃあ…あとよろしく」

「「はーい!」」


私が言うと後輩達は元気よく返事をした

くそぅ、可愛いな



「ククッ」

「な、なによ…」

「べつに?」



晋助は意地悪く笑って、私が持っていた鞄を引ったくった


本当…こうゆうことしないでほしい

晋助の行動に一々ドキッとしてしまう

ずるいずるいずるい…!



「晋助のばーか」

「は?」



車に乗り込みながら言うと、晋助は不機嫌に応えた

なんでもない、と返して私はシートベルトをした



車が動き出して、いつもの帰り道をいく

いつもの晋助と私のお気に入りのバンドの音楽が流れてる


隣で運転してる晋助をちらっと見る

女の私より色気があって、肌綺麗で、髪の毛もさらさら

鼻高くて、睫毛長くて、唇の形も綺麗で…



「…っ」



ふと目があった

恥ずかしくなって目を伏せると、晋助は喉をならして笑った


「お前、顔と行動にですぎ」

「…?」


言葉の意味が分からなくて、もう一度晋助を見る

晋助は前を見ていたけど、私の視線に気付いたのかちらっとこっちを見た


「わかりやすいって言ったんだ」

「???」



何が?というように私が黙ると晋助は小さく溜息をついた

しばらくして赤信号に捕まり、車を止める


と、晋助は私の方に手をのばしてきた



「真菜」


「!」



頬をの辺りをすっと触られて、思わずビクッとしてしまった

ニッと口角をあげて晋助は口元を耳に近づける



「−−どうしてほしいか、バレバレなんだよ」


「…っ」



顔を真っ赤にして、晋助から離れようとしたら後頭部に手が移動していて阻止された

ぐっ、と顔が近づく

鼻の先が触れ合うくらい、晋助の顔が近い


お互いの呼吸が聞こえて、晋助の深い色の目に見つめられて、吸い込まれそうでクラクラする

耐え切れなくなって目を閉じたら、勝ち誇ったように晋助が小さく笑った


その時

後ろの車から凄まじいクラクションが聞こえた


びっくりして目を開けると、晋助は不機嫌そうに私から離れた

見ると信号は青になっていて、晋助は溜息をついて車を発進させた



「邪魔が入った…」


「…」



そんな風に晋助は呟いた


…って、私、今、晋助と、何しようとしてた−−?

もし、もしも、あのまま信号が赤のままだったら−−?





に、




(何?残念がってんの、私)





2012*03*04 執筆

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