「あらあら、まぁまぁ、どうしましょ」


「どうもしなくていいよ、ママ…」



ベッドで寝ている私の前にいるのは、着飾ったママ

今夜はパパとデートだそうだ



「でも、真菜ちゃんを一人にするなんて…」


「熱があるだけだから、一人で平気だよ。行ってきて?」



私が言うとママは渋々といった感じで部屋から出て行った


大丈夫とは言ったものの、シンとした家で一人は少し淋しい


「…寝よ」


やることも無いし大人しく寝ることにした

布団に潜って耳を塞ぐ

トクントクンと、いつもより少し早い鼓動が聞こえる


そういえば、小さい時もこうやって一人で寝てた事あるなぁ…なんて思ってたら、睡魔に襲われて眠りについた




***




−−カチャ、カチャ


「ん……」


側で物音がした

うっすらと目を開けると人影が見えた

ママ…?にしては背が高い



ぼーっとしながらその人を見つめていると、相手も私に気付いたのか視線を向けた

手がのびて来て、額に触れた


ヒヤッとして気持ちがいい

と、同時に晋助のにおいがした



「晋助…?」


「あぁ」



私が問うと晋助は応えた

冷たい手が額から離れていって、代わりに声がふってきた



「飯食えるか?」


「…ん」



私が短く返事をすると、晋助は私を抱いて上半身を起こした


「ほら」


「…」


差し出されたのは、暖かいお粥だった

晋助が作ってくれたの…?



レンゲにすくったお粥を、ふーふーして冷ましてくれて、それを口元に差し出される

一瞬躊躇ってから、お粥を口に入れた



「おいしい…」


「当たり前だろ」



「俺が作ったんだから」とは言わなかったけど、きっとそうゆうことだ


晋助にお粥を食べさせてもらいながら、昔の事を思い出した

前にも同じ事があった



「あとは薬飲んで寝とけ」


「…うん」



薬を飲んで布団に入る私を確認してから、晋助は立ち上がった


「…?」

「ぁ…」


部屋から出て行こうとする晋助の服を思わず掴んでしまった

晋助もびっくりしたみたいだけど、私のほうがびっくりしてる


咄嗟に手を離して、恥ずかしさと晋助の視線から逃れるように布団に潜り込んだ

すぐ側で、クスッと笑う声がして晋助は部屋から出て行った



全く…私は何してんだか…

もう子供じゃないんだから、熱だして一人じゃ心細いだとか…有り得ない



晋助…戻って来るかな……



耳を塞いで自分の鼓動をBGMに眠りにつこうとするが眠れない

どのくらい時間が経ったのか、部屋に誰かが入って来た



「真菜」


「…」



名前を呼ばれて、布団から顔を覗かせる

晋助はベッドの側の床に座って、そっと私の頭を撫でる



「ここにいてやるから、寝ろ」


「……っ」





昔と同じ優しい貴




(昔と変わらない)
(この気持ちも…)




2012*03*04 執筆

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