短編 | ナノ



こうなると分かっていても

私は貴方と共について行きます



ー運命ー



『………』


一人の少女が影の領域に変わった城下町やハイラル城を眺めていた。彼女はかつて魔王に仕えていた者であり、勇者と共に元の世界に戻りどれだけの年月が経っただろうか…今は自分の身体に何時ぞやの魔王の魂を宿しており、特別にザントの許可を得て光の世界に来ている

__100年でハイラルは変わったものだ、と彼女は思う。同じハイラルでも種族や種族達の関係性等昔に比べ大分違うと実感する。彼女…アヤメは只只眺めていた

そんな中


「"そんな顔をしてどうした"」


不意に声が聞こえてきた為に思わずびくりと身体を震わせるのだが、声の主が彼_ガノンドロフだと分かれば直ぐに肩の力を抜く。アヤメはいえ…と言葉を濁す

無理もない。幾ら彼女が魔王側とは言え、アヤメもこのハイラルが好きだったのだから。勿論今も好きなのには変わりない。そんな彼女を見かねた彼は、大分回復したであろう魔力を少し使い、完全にはいかぬが具現化は出来ようと思ったのか、アヤメの体内から出てきて魂から人型になり具現化する

まだ不完全な部分もある故に影の領域内しか具現化は出来ないが、今はこれで良いだろうと視線を彼女の方へと向けた


『それは…』

「"我の魔力の一部を使い具現化したものだ。とは言え完全復活では無い故に影の領域にしか居られぬ"」


彼は自分の身体を動かしつつも問題無い事を確認するとガノンドロフは顔をアヤメへと近付けた。幾ら具現化されたとは言えハッキリとした彼の顔が近づくとアヤメは思わずドキッする

_もしかして今自分が考えている事を見抜かれただろうか。アヤメは色々と悩んでいた。ハイラルは好きな故、ゼルダとも仲良くなった。だが彼を裏切ってしまえば自分はその罪に耐え切れなくなってしまうだろう

そう思えば思わず表情に出る。それを見たガノンドロフはやはりな…とぽつりと言葉を零し、顔を引っ込めた。彼女は顔を見上げるとえ?っとキョトンとする


「"そんな事で悩んでおったとはな…昔から変わらぬな貴様は"」

『そう言われましても…中々難しいんですよ?』

「"ふむ、それもそうか。…ならば我の方から問おうではないか"」


悩むならば…と切り出すガノンドロフ。アヤメは只只彼を見つめていた。暫し悩んだ結果、彼は口角を上げると彼女を見下ろしこう告げる

ここまで来たのならば、最後まで我と共に来い

と…。アヤメは彼の言葉を聞けばふふっと笑い、はいと返事を返した。彼女の瞳からは迷いは無く彼を捉えるように真っ直ぐな瞳で彼を見た

ならば最後まで彼と共にしよう。私は決めたのだから…貴方と共について行くと


「"良い返事だ"」


真っ直ぐな瞳でこちらを見つめる彼女を見て、気分を良くした彼は喉を鳴らしながらククッと笑った



もう迷いは無い。どんな運命や結末があろうとも私は彼に__愛した魔王と共に行くのだから



END





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