短編 | ナノ
今日はハロウィン。だからいつも以上に
料理を作ってみた、んだけど…
喜んでくれるかな
ー南瓜の料理ー
今日10月31日はハロウィン。なので張り切ってキッチンに立ち料理を作った。…そう南瓜メインの。せめて野菜や魚のも取り入れたかったのだが運悪く南瓜と肉しか残っておらず、仕方なく二つの食材で料理する事になったそう
『見た目はまぁまぁ、かな』
完成した料理をまじまじと確認する女性の名前はアヤメ。魔王ガノンドロフの補佐でありながらも中々の実力を持つ女性だ。今日は仕事は休みで暇だったから料理を作ったとかなんとか…
__だが、ただ単に料理を作った訳では無い。もうお分かりだろうがアヤメはガノンドロフの為に作っていたのだ。彼の舌に合うかどうか不安ばかりだが、取り敢えず出来上がった料理を盆の上に乗せる
落とさぬ様に盆を持てばキッチンを後にしたアヤメはそのまま彼が居る部屋へと向かった。時計を見れば丁度昼時。彼も腹を空かせているだろうと思いながらも長い廊下を歩いて行く。暫くして部屋の前に辿り着いたのか、彼女は両手が塞がっている為に大きな声で彼の名を呼んだ
『ガノンさーん、居ますか?』
暫く静けさが残るも、不意にがちゃりと扉が開かれる音がした為に顔を見上げた。何だと言わんばかりに出てくるガノンドロフはちらりとアヤメを見て、何の用だと見下ろす。こんにちはと笑顔で挨拶する彼女にふんっと鼻を鳴らすガノンドロフだったが、ふと彼女が持つ料理に目が入る
南瓜料理であろうと判断した彼だったが今日は……そうか、ハロウィンかと脳内で解決する
『ガノンさんの為に南瓜料理作ったんですけど…どうですか?』
「オレに、だと?」
アヤメの言葉に少々驚いたガノンドロフだが、同時に彼女が作った料理の味に興味が湧いた様で、仕方なく部屋の中へと招き入れた。彼の部屋に入った彼女はお邪魔しますと一言言った後、盆を机の上に置く。彼の部屋に入る事は慣れているアヤメだが、料理の味に対して緊張している事が目に見える
そりゃそうだ。なんせ南瓜料理を食べるのは普通の人でも無ければ友人でも無い。かつてハイラルを陥れた大魔王が口にするのだ。無理もない話だろう。彼女は取り皿に南瓜料理を添えた後彼の前に差し出した
『どうぞ。…味の方は頑張ったんですが…』
「ふん、期待はしておらんがな」
あははと彼の言葉に苦笑いを零すのだが、ガノンドロフが一口食べたのを見れば少しそわそわする。舌に合うかな、濃くないかな、しょっぱくないかな、等の考えを頭の中でぐるぐるさせながらも見守っていたアヤメだったが、彼が箸を置いたのを見てまさか不味かっただろうかと不安が積もる
はぁ…とアヤメが肩を落としていたら、彼の大きなため息が聞こえたのを聞き逃さなかった彼女は失敗か、と諦めていた。しかしガノンドロフがアヤメに掛けた言葉は意外な言葉であった
「…見た目はともかく、味は悪くなかったな。貴様としては上出来だ」
『!』
普段ならば口出しをする彼なのに意外な言葉を受けたアヤメはポカーンとしていた。だがガノンドロフに褒められた、と実感すると何だか認められた気分になり嬉しい気持ちが積もる
これからは料理のスキルを上げていこうと決意すれば、次のハロウィンには野菜等も取り入れもっと美味しい料理を彼に提供したい…そう思ったアヤメは心の中で頑張ろうと意気込んだ矢先
「だがもう少し見た目、綺麗に出来ぬものなのか…少々疑問ではあったが、まぁいいだろう」
『うっ…次から頑張りますよ、もう』
結局ダメ出しを喰らう彼女だが、食べてくれた事に嬉しさが増した為にまぁいっかと小さく笑った。南瓜料理を食べた後、アヤメとガノンドロフは子供達にお菓子を配りに行ったそうな
🎃HAPPY HALLOWEEN🎃
END
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