短編 | ナノ

(南様リクエスト)


 アヤメは手で口元を覆うとあくびを噛み殺し、数度瞬きをしてにじんだ視界を元に戻す。手元の書類に目を落とした彼女は、紙面に記載されたハイリア文字がただの記号にしか見えなくなっていることに気づいてゆるゆると頭を振った。
 アヤメがこうしてこちらの文字に触れるようになってからだいぶ経つ。だが多少慣れてきたとはいえ、彼女の中の言葉は未だ漢字と仮名で形成されていた。
 ハイリア文字で綴られた文章を理解するには、目に入ってくる文字を頭の中で翻訳しながら読まなければならない。眠気など感じていては作業に支障が出てしまう。
 ――いっそ、頬をつねった方がいいだろうか。そう思ってゆっくりと腕を上げた直後、ゴゴゴッと扉がノックされた。荒っぽくてせわしない音は静かな部屋にやけに大きく響いて、アヤメは思わずびくりと肩を跳ね上げさせる。……心臓が縮むような思いをしたが、お陰で眠気はすっきり吹き飛んでしまった。
 部屋の主であるガノンドロフに目をやると、不機嫌そうに眉を寄せた彼は無言のまま顎で扉を示す。来客を迎え入れても構わない、という許可である。アヤメは事務的な笑みで頷くと、ゆっくりと立ち上がって扉へと足を向けた。
 扉の前に立ってその取っ手に触れようとしたアヤメは、だがその直前に扉が内側に開いたために慌てて後ろに飛びずさった。

「やあアヤメ、愛らしい僕の小鳥よ! ああ、今日も君に会えるなんて、僕はなんて幸福者なんだ! だが君も罪な人だ。その優しく微笑む瞳が恋しくて僕がどんな夜を過ごしたか、君には想像もつかないだろう――」

 入室するなりアヤメの両手を取ってわざとらしい笑顔を見せたのは、書記官長の三男坊である青年だった。貴族らしく細面でなかなか整った顔立ちをしているが、大袈裟な役者めいた表情と気取ったように歪んだ口元がどことなく胡散臭さを醸し出している。
 ――また来たか。そんな心の声をおくびにも出さず、アヤメは穏やかな微笑を彼に向けた。

「あら、おはようございます。本日はいかがなされました?」

 意識的に優しい声音で問いかければ、青年はふんと鼻を鳴らしてキザったらしく顎を上げる。

「どうしたも何も、愛しの君がこんな天気のいい日にこの野蛮でむさくるしい男と過ごしているのが気の毒になってね。僕が鳥籠を開け放って連れ出してあげようと思ったまでさ」

 この野蛮で、のところで小馬鹿にしたような眼差しをちらりとガノンドロフに向ける。相も変わらず怖いもの知らずの青年である。アヤメが恐る恐るそちらを確認すると、ガノンドロフは何事もなかったかのように無表情で仕事を続けていた。その姿に彼女はほっと胸を撫で下ろす。……本当に、毎度毎度心臓に悪い。
 ――詳しくは知らないが、聞くところによるとこの青年は過去にガノンドロフに一杯食わされたことがあるらしい。それ以来彼を異様に敵対視しており、事あるごとに対抗したり突っかかってきたりしているのだそうだ。高官の息子という立場にあるため、下手に突っぱねることもできない辺り非常にタチが悪い。
 そんな青年が今回目をつけたのが、憎きガノンドロフの補佐官たるアヤメである。『ガノンドロフが気に入っていると噂の女』を横からかっ攫うことができたら、きっと一泡吹かせられる。そんな浅はかな考えで、彼はアヤメを口説き落とそうと必死に猛アプローチをかけているのだ。
 アヤメは彼の両手をやんわりとほどきつつ、ゆるりと首を傾けた。

「左様でしたか。ですが申し訳ございません、ただいま勤務中でして――」
「ああっ! そうつれないことを言わないでおくれ、アヤメ。僕と君との仲だろう?」

 どんな仲だ。思わず口を開いて突っ込みかけたアヤメは、すんでのところで言葉を飲み込む。勘違いされては困るが、彼女はこの青年にただ一方的に言い寄られているだけだ。一体そこにどのような関係が生まれるというのか。

「アヤメ、私的なやり取りは控えろ」

 低く冷たい言葉が耳を打つ。ひやりと背筋に冷たいものが触れた気がして振り返ると、眉間にシワを作ったガノンドロフの金の瞳と目が合った。……怒気が漏れている。アヤメは謝罪代わりにぎこちない愛想笑いを返し、青年を早々に追い出す決意を固める。
 まだ午前中だというのに、ここで彼に不機嫌になられては困る。仕事中に辛辣な嫌味や罵倒が飛んでくる頻度が増すし、何より下手に威圧感があるものだから息がしづらくて仕方がないのだ。自分の精神的な安寧のためにも、早急にご退場願わなければ。

「あの、申し訳ありませんが――」
「おおっと! 男の嫉妬は醜いぞ、ガノンドロフどの。この淑やかで可憐な乙女が僕と親しくしているからといって、そこに割って入ろうとするのは無粋以外の何物でもない。君もそう思うだろう、アヤメ?」

 ――なんて馬鹿なことを! 肩を抱かれて引き寄せられながら、アヤメは冷や汗を覚えた。
 直視するのも恐ろしくて目玉をほんのわずかに動かすと、ガノンドロフがすっと剣呑に目を細めるのがちょうど視界の端に映り込んだ。室温が心なしか数度下がった気がする。
 そんなガノンドロフの様子を目の当たりにしてなお馬鹿にしたようにせせら笑っているこの青年は、本当に何も気づいていないのだろうか。いくらお偉い方の息子だとしても、これ以上彼を野放しにしては大惨事に繋がりかねない。

「あ、あの、本日はどうかお引き取りくださいませ。せっかくのお誘いをお断りしてしまうのは、大変心苦しいのですが……」

 アヤメは冷や汗を感じながら、失礼にあたらないようにやわらかな手つきで自分の肩から青年の手をどかす。申し訳なさそうに浮かべた笑みが引きつってしまうのはもうどうしようもない。
 青年はそんな彼女の笑顔をどう取ったのか、胸を押さえてよろめくと、大袈裟に痛ましげな表情をしてみせた。仕草のひとつひとつが演技じみていて実に胡散臭い。

「ああ、なんと可哀想な女性だ。鳥籠に囚われて、自由に飛び立つ意志をも奪われてしまったのだね? 大丈夫だ、いつか必ず僕がこの檻から君を救いだして見せるよ。……それまで、しばしのお別れだ」

 つらつらと歯の浮くような言葉を述べると、彼はアヤメの前に片膝をついてそっと彼女の右手を取った。

「だが忘れないでおくれ。僕の心は、常に君と共にあることを――」

 その言葉と共に、手の甲に青年の唇が押し付けられる。何をされたのか一瞬理解できずに固まったアヤメの視界の外で、ぱきんと何かが折れる音がした。……何が起きているのか確認するのが非常に恐ろしい。そちらを横目で見やって得意気に笑っているこの青年が信じられない。いったいどれほど図太い神経をしているのだろうか。相手を挑発するなら、せめて殺気くらいは感じ取ってほしいものだ。
 そんなアヤメの気持ちとは裏腹に、青年は優雅な笑みをこちらに向けると、流れるように立ち上がって一礼した。

「では、名残惜しいが僕はこれで失礼するよ」
「は――はい。そちらの部署も、お仕事が大変な時期だとお聞きしました。頑張りすぎて、体調を崩さぬようお気をつけくださいね」
「ああっ、なんと優しいんだ、僕の天使……!」

 いつ小鳥から天使に格上げしたのだろうか。大袈裟に感動してみせるその青年を、アヤメはこれ以上ない優しい笑顔で見送った。笑顔の裏で、口づけられた手の甲を拭っておくのも忘れない。
 ――さて、問題はここからだ。扉を完全に閉めてから一呼吸置いたアヤメは、恐る恐る背後を振り返る。
 ぴりぴりと、肌を焼くような怒りがガノンドロフから放たれている。突き刺さる視線が痛いほどに冷たい。肺が押し潰されるような黒く重たい威圧感は、いつかの魔王を思い起こさせる。
 そんな魔王の手の中では、真っ二つに折れた羽ペンが無惨な姿をさらしていた。……相当お怒りのご様子である。

「すみません、ただいま執務に戻りますね」

 あえて肩の力を抜き、ガノンドロフの怒りを受け流すように穏やかな笑顔を浮かべて彼に近づいていく。殺気めいた苛立ちが肌や髪に伝わってきて気圧されそうになりながらも感情をひた隠し、金の瞳を見ないように目を伏せる。――あの目を間近で見てしまったら、きっと自分はヴァルバジアに睨まれたゴロン族のように動けなくなってしまう。
 慎重に、これ以上ガノンドロフを刺激しないように。アヤメは一挙手一投足に神経を使いつつ、執務机を挟んだ彼の真向かいに立った。

「……今度はもっと、丈夫なペンを見繕ってきます」

 声は辛うじて震えなかった。魔王の殺気にここまで慣れた自分の胆力に内心喝采を上げながら、アヤメは彼の手から使い物にならなくなったペンを受け取ろうと手を差し出す。
 だが、ガノンドロフは折れたペンを叩きつけるように机上に置くと、おもむろに椅子から立ち上がった。

「ガノンドロフ様?」

 思わず顔を上げてしまったアヤメは、高い位置からこちらを見下ろす金眼を目の当たりにして金縛りにあったように体を硬直させる。
 瞳の中には冷たい怒りが煮えたぎっていた。表情こそ冷静と言っても差し支えのないものだったが、そのために瞳に宿った異様な輝きがより一層強調されてアヤメをおののかせる。不意にその瞳がすっと細められ、彼女はびくりと肩を震わせた。
 ガノンドロフは短く息をつくと、ゆっくりと机を回り込んでくる。その動きに一拍遅れて気づいたアヤメは距離を取ろうと力の入らない足を動かそうとしたが、それが叶うことはなかった。彼は彼女の胸ぐらを無造作に掴むと、腕一本で軽々と彼女の体を持ち上げたのだ。
 足が宙に浮く不安定な感覚が恐怖を倍増させ、アヤメは思わず息を止めて彼の腕にすがりつく。――怖い。そう思うのに、どうしても彼の冷たく燃える瞳から視線が動かせない。目を見開いて怯える彼女をじっと睨み付けていたガノンドロフは、やがて低く唸るように口を開く。

「勤務中に上司の前で男にうつつを抜かすとは、いい身分だな」

 ――理不尽だ。下手にお偉い方の息子を邪険にしては、主であるガノンドロフの立場が悪くなる。そうはさせまいと必死に当たり障りなく接しているというのに、何故こうも怒られなければいけないのか。アヤメは反論しようとしたが、宙吊りの状態ではまともに息を吸うことすら難しい。
 腹の底からわき出てくる不満が、ほんのわずかに恐怖を上回った。文句を言えない代わりに無言で非難の視線を送れば、ふんと鼻を鳴らしたガノンドロフは執務机に腰かけさせる形でゆっくりと彼女の体を下ろした。しっかりとした支えができたことに安堵したのもつかの間、今度はずいと顔を寄せられ、アヤメは思わず上体をのけぞらせる。

「ち、ちょっと、待っ――」
「見目のよい男に美辞麗句を並べ立てられるのは、さぞかし気分がよかろうな」

 ガノンドロフは声音と表情に嘲笑を混ぜ込み、じりじりと詰め寄ってくる、アヤメは冷や汗を覚えながら、体をさらに後ろに倒した。
 執務机はガノンドロフの体格に合わせて特注で作られているため、アヤメではどれだけ浅く座っても爪先が床に届かない。両足が宙ぶらりんになった不安定な体勢では下手に抵抗もできず、彼女はただ戸惑いに瞳を揺らした。

「それとも、跪いて愛を誓われるのが貴様好みだったか?」

 ガノンドロフは状況に着いて行くのにいっぱいいっぱいになっているアヤメを、さらに追い詰めるように迫ってきた。口元に相手の息がかかるのを感じて、彼女は慌てて距離を取ろうとする。その拍子に体勢を崩しかけ、ばたつかせた足が相手の固い太ももにぶつかった。突っ張る腕がそろそろ辛い。

「答えろ、アヤメ」

 気づけばアヤメの体はほぼ机上に寝そべる形になっており、ガノンドロフはその上に密着するように覆い被さっている。そうなって初めて、アヤメの脳にわずかに残された冷静な部分が突っ込みを入れた。
 ――ちょっと待て。この体勢、見ようによっては大変に危ないものではなかろうか。不意に恥ずかしくなって視線を泳がせると、鼻先のガノンドロフがくくっと喉の奥を鳴らした。まさかと思ってそっと目を向ければ、その口元がにやにやと歪んでいるのが見て取れた。……どうやら怒りはとうに収まっており、いつの間にかアヤメをからかう方向にシフトチェンジしていたらしい。
 こちらは相手の怒りを避けることに必死だったというのに、酷い男だ。アヤメはむくれて彼の人の悪い笑みから目をそらす。

「おかしいと思ったんですよ。私がどう答えるか知ってる癖に、そんなこと訊くなんて」
「さて。言葉にしてもらわねば分からぬな」

 ……どうやら、先ほどの問いに答えるまでアヤメの上からどくつもりはないらしい。体を支えるアヤメの腕が限界に近づいてきて小刻みに震えているのを嘲笑いながら、ガノンドロフはさらに顔を寄せてくる。これ以上後退することができないアヤメは息が止まるような思いをしながらも、目をそらしてなんとか声を絞り出す。

「……私がそういうことされて嬉しいのは、ガノンさんだけですから」

 拗ねた声音で呟くと、それを聞き取ったガノントロフが「よく分かった」と満足げににやりと笑った。ようやく解放してくれるのかとほっと安堵の息をついたのもつかの間、直後に右手首を掴まれてぐいと無理やり上体を引き起こされた。

「が、ガノン、さん?」

 驚き戸惑うアヤメの視線の先でガノンドロフはわずかに屈むと、手首を掴んだままその白い手の甲に恭しく唇を落とした。
 不意に触れたやわらかな感触に、彼女は反射的に身震いをする。彼はゆっくりと唇を這わせ、僅かに口を開いて見せつけるように骨と骨の間を舐め上げる。

「――、っひ」

 ぞくぞくと何かが背筋を走る感覚に思わず声を漏らすと、下からすくい上げるような挑発的な眼差しが向けられる。

「どうした、オレにこうされてみたかったのだろう?」
「あ、あ、ぅ……」

 アヤメは言葉を失って、ただただガノンドロフを見下ろすことしかできなかった。
 絶対的な王たる立場の者が、従者の肩書きを持つ自分に頭を垂れ、手の甲に口づけている。その意味を知らぬガノンドロフではないだろうに。彼は歪んだ悦楽を宿した瞳をアヤメに向けながら、その手を執拗に唇と舌で愛でている。――まるで、先程青年に接触を許したアヤメを責め苛み、その記憶と痕跡を丹念に塗り潰していくかのように。
 何もかもがあべこべで倒錯的な光景から目をそらすこともできず、彼女は目眩を覚えてこめかみに手を当てた。困惑と背徳感の狭間に、確かな熱を帯びた感情が顔を覗かせる。……これ以上触れられていては、本当にどうにかなってしまう。
 そんな彼女の限界を感じ取ったのか、ガノンドロフは笑みを深めて顔を上げる。そしてアヤメの手首を強く引っ張ると、前のめりになった彼女の耳元に顔を寄せた。

「よいか。オレを慕うというのならば、二度と他の男になど触れさせるな」

 不意に耳の中に響いた低く冷たい囁きに、アヤメは頭から冷水を浴びせられたように心臓が凍りつくのを感じた。唐突に戻ってきた現実感に、彼女は緊張でねばつく口をなんとか動かして言葉を紡ぐ。

「……気を、付けます」

 酷く掠れた小さな声だったが、その答えにガノンドロフは満足してくれたらしい。彼は静かに喉の奥で笑うと、掴んでいたアヤメの手首を離し、今度こそ解放してくれた。
 ガノンドロフが体を遠ざけてくれたことに、アヤメはほっと胸を撫で下ろして表情をゆるめた。緊張と混乱の連続で肩の筋肉が強張っているのを感じる。いつものことながら、彼がふざけ始めると身が持たない。
 彼女は小さくため息をついて座らされていた机から滑り降りる。文字通り地に足がついたお陰でようやく落ち着いた心地を取り戻したアヤメだったが、ふと先程の行為を冷静に思い返してしまったせいで、今更ながらに猛烈な羞恥心が襲いかかってきた。
 ――なんてことをしてくれたんだ、この魔王は。彼に掴まれていた右手首がじんじんと痛みと熱を訴えている。わずかに赤くなったそこをそっといたわるように撫でると、連鎖的に彼の唇や舌の感覚を思い出して悲鳴を上げたくなった。蒸気を噴き出してしまいそうに熱を持った顔を覆ったアヤメは、情けない呻き声を上げてその場にしゃがみ込む。

「しかし、あの小僧にこうも頻繁に出入りされては目障りだな。――アヤメ、あれを寄越せ」

 頭上で呼び掛けられた名前に反応し、真っ赤な顔を覆い隠したままそっと視線だけを上げる。そこにはいつもの不機嫌そうな仏頂面で、何かを要求するようにこちらを見下ろすガノンドロフの姿があった。あれだけのことをしておいて、こうも平然と仕事モードに戻れるこの男の神経も大概おかしい。
 だが、彼が職務に戻るというのならば、補佐である自分もそれにならって動かなければならない。熱暴走を起こしてしまいそうな脳を深呼吸ひとつでなんとか収め、アヤメは彼が何を求めているのかを探るためにじっと金の瞳をじっと見つめ返す。……その奥に潜む冷たい色にふとガノンドロフの意向を察した彼女は、ふっと苦笑混じりにため息をつくと、まっすぐに立ち上がって一礼した。

「……承知致しました」

 確か、書記官長の醜聞や横領に関して纏めた資料がどこかの引き出しにしまってあったはずだ。回らない頭で記憶を辿りながら、彼女はそっと右手の甲を指で撫でてふっと目を細める。
 ――うぬぼれてはいけない。ガノンドロフは、周辺をうろちょろする高官の息子に計画が漏洩してしまうリスクを排除しようとしているだけなのだ。先程見せた尋常ではない苛立ちも、自分の『所有物』が他人に触れられるのが許せなかっただけに違いない。ただそれだけの話だ。
 ……だけど、今だけはこの勘違いに浸らせていてほしい。アヤメは彼に背を向けて淡く染まった頬を隠すと、資料を探す振りをしながらこっそりと自分の手の甲に口づけた。





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