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溢れた涙は約束の数



私は幼い頃から、加州清光と三日月宗近一緒に育ってきた。私はスクスクと育っていったが、清光と宗近さんが著しく成長することはなかった。容姿は出会った時のまま。
年こそ清光の方が断然下だが、宗近さんはじじい、じじいと言う割には、その容姿は十分に若い。

私が彼らをいろいろな意味で追い越してしまうのは、虚しいことだ。
でもそれは不変の事実。彼らは刀であり、本当の人間とは違う。……違うんだよ。

私は年をとったら身体の機能も衰えて、皺だってできてしまう。そのうち、私は死んでしまう。きっとその最後の時でも、彼らはあの若々しい容姿でいるんだろう。

年をとるのは仕方がないことだと割り切っていても、今まで一緒に過ごした彼らと一緒に年をとることができないのが、何よりも私を苦しめ、悩ます。

共に生きていくことができたなら、どれだけ幸せなのだろうか。

無常にうつろう時代は、止まることを知らずに時間を刻み続ける。寂しい、ではなく虚しい。

「今日の敵以外と弱かったねー」
「あぁ、でもまだ若い者に負ける気がしないぞ」
「ねぇ、主!俺、まだまだいけるよ!」

あぁ、なんて眩しいんだろう。

『…………』
「…………名前様?」
『ん?』
「最近やけにぼーっとしてる。悩み事があるなら聞くよ?」
「言われてみれば、確かにそうかもしれないな。どれ、じじいに話してみなさい」

二人ともそれぞれ違う反応だけれど、どれだけ私を心配してくれているのかなんて、すぐに分かった。暖かい…、ううん、心が温かい。

『二人とも、……ありがとう。』

「わわっ、名前様泣かないでー!」
『清光、宗近さん、今まで一緒に戦ってくれてありがとうね…』
「今まで、ではないだろう?これからも、…だろう」
『うん、………これからも一緒に戦ってくれる?』
「もちろん、俺が主を守るよ」
「じじいにだってやる時はやるんだ。なに、任せなさい」

終始、和やかな時間が流れる。

私は本当の意味で気づいていなかったのかもしれない。
2人ほど力強い味方はいないということ。
2人がいれば強い自分で居られるということ。

どうせ死ぬなら2人に看取られて死ぬのなら本望ではないか。


2人さえいれば、もう、何も怖いものなんてない。

今の私は無敵だったんだ。

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