半(はした)
――異世界から突然やってきた武将の皆さんは、とても自由奔放な方たちで。
その賑やかな生活に馴れてきたとはいえ、今日のこのお二方の言動と行動には参りました。
「Hey,honey!俺はあのgameをしてぇ」
「な!政宗殿っ、あんな破廉恥なっ!!」
『……えぇっと、ポッキーゲーム、ですか』
私を真ん中に三人並んでソファに座ってテレビを見ていた。
恋愛もののドラマで、冒頭主人公たちが合コンというものをしていて、そこでポッキーゲームというものがあり、それに政宗さんが反応されたというわけなのです。
幸村さんは真っ赤なお顔で、ひどく動揺されていて。
「だ、大体っ、何故、夢子殿が政宗殿とっ!!」
「……han,jealousyか?真田」
「じぇ、ら……??」
「嫉妬、か?って言ってんだよ」
その瞬間に、幸村さんの顔面から炎が見えるくらい、カッと、二段階くらいさらに赤くなった。
「し、ししし、嫉妬、などと?!」
『も、もう!政宗さんっ、幸村さんをからかわないでくださいっ』
気の毒になるくらいな様子の幸村さんが可哀想になって、私は政宗さんを睨む。
けれども、私が睨んでも迫力はなく、政宗さんは意地悪そうに口角を上げられただけだった。
「……hum,honey.真田のことは気にすんな。で、やってくれるよな?」
『……え、本気ですか?』
私が尋ね返せば、政宗さんはゆるりと頷かれる。
う、うぅ。
あんな恥ずかしいことを……?
でも、きっと、やらないことには政宗さんは納得しないのだろうと悟り、渋々頷きました。
大丈夫。
唇が触れる前に逃げれば済む……はず、です。
『……っ?!』
ですが、その考えはとても甘かったようで、ポッキーを口に加えて向かい合った段階で、政宗さんの両手が私の肩をがっちりと押さえつけていました。
『……んっ!』
「…………っは」
口の中にある、粉々になったポッキーの感触よりも、唇に触れていた政宗さんの唇の感触の方が、何故だかはっきりとしていて。
「……夢子殿っ」
『……え』
ぐいっと、引き寄せられれば、そこにはポッキーを口にくわえて、待ちかまえていた幸村さん。
『ちょ、っ、……ん』
少し待ってもらうこともできず、押し当てられたポッキーを口に入れることもなく、私は幸村さんと口づけを交わしていた。
……あぁ、もう!
力強い腕を引き離すこともできず、すぐ後ろでは政宗さんの口笛が聞こえている。
『……お二人ともっ』
涙目で睨んでも、やはりお二人に効果はなく。
さらに左右から抱き締められた。
もうこうなると、為すすべもなく、私は小さく息を吐く。
「政宗殿、夢子殿から腕を退けてくだされ」
「否、真田。それをいうならアンタの方だ。honeyは俺と二人っきりになりたいようだぜ?」
……はっきりと、断りきれない優柔不断な私。
誰かを選ぶこともできない、そんな勇気のない私を色で表すなら、まさに……
半(はした)
……かもしれません。
(彩りで世界を染めて様へ提出/政宗vs幸村)
素敵な企画様に参加させていただき、ありがとうございました!
和の色がお題なのがとても素敵で迷っちゃいました!