バレンタイン突発企画

(2020ver.※不思議少女の楽曲のみ)
※新テニが始まらずに卒業式を待つ&手塚は三月ドイツ予定。リョーマもいる二月設定
※(キャラ名)はその話の視点人物

[list]

どうするか聞かなくても


「あぁ、そうだ。こんなもん、届いてたよ」
「……?」

竜崎先生から手渡された封筒をじっと見つめる。すると、封筒に描かれたパンダと目が合った。

「……これは」
「あー、あれさ。あの氷帝のお嬢ちゃんだよ」

だろうなとは頭に浮かんでいた。
そんな俺の考えが見透かされたのか、竜崎先生がニヤリと笑う。

「若いねぇ。流石のアンタもバレンタインは特別か」
「バレンタイン……?」
「ありゃ、違ったのかい。だとしたら、さっきの笑顔は……」
「失礼します」

竜崎先生の目が何かを読み取ろうと細めたのを見て、大きく咳払いをしてから踵を返した。
背中に向かって意味深な言葉が投げかけられるが、聞こえないふりをする。

この手紙はどうやら俺個人宛ではない。
テニス部、しかも合宿に参加していた部員宛だ。

「……答えは」

聞かなくてもわかるだろう。
夢野が関わっている招待状となれば、仲間たちが行かないわけがない。

進めていた歩を止め、廊下の窓の外を見る。
ランニングをしている部員たちが見えた。
もう部活動に顔を出さなくてもいいと言われても、こうやって気になってしまう。

「手塚」

同じような想いを抱いているのだろう。
図書室で医学書を読んでいたのか、大石が何冊かを抱えながら俺に声をかけてきた。

「……難しい顔をしてどうかしたのか?」
「いや……」

難しくはない。
たった一日の、たった数時間。
それも夕食時の時間。

答えは簡単なのだ。

「夢野からの招待状だ」
「……へぇ。……こりゃ大変」

あの夏の合宿のことでも思い出したのだろうか。

「……でも楽しみだな」

久し振りに集まれるしなと笑った大石に、こくりと大きく頷いたのだった。

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