美人には棘がある

「おっほぅ……」

両手で顔を覆い、そのまま机に突っ伏した。
がんっと頭を衝撃が走る。
もうだめだ。私にはこれ以上この場に耐えれる精神を持ち合わせていない。……息が詰まりそうだ。




――そもそもの始まりは、不二さんとサボテンについて語っていたところからである。
なんと不二さんはサボテンの研究論文で何やら賞をとったことがあるらしいのだ。
これは元サボテン部としては捨て置けぬ。

「植物に毎日話しかけたら元気になるって言うじゃないですか、あの流れでクラシック曲を弾いてみていたんですが……」

「あぁ。確かに植物も心地よいと感じるみたいだね」

不二さんが育てているサボテンの写真を見せてもらいながら、そんな会話をしていたら、不意に写真に影が重なった。

「……何を見ているんだい?」

顔を上げたら、幸村さんである。
綺麗に微笑んでいるその瞳を見た瞬間、何故かヒヤリとした。

「さ、サボテンの話を」

「そうなんだ。俺も興味があるから、混ざってもいいかな?」

「フフ、そういえば幸村の趣味はガーデニングだったね」

私の隣に幸村さんが座り、私は不二さんと幸村さんに挟まれることになった。
だが二人の交わす言葉を耳にするたびに、寒気がするのは私の勘違いだろうか。
もしかしなくても、この二人は気が合わないんじゃないだろうか。いや、気が合うからこそ、このような雰囲気なのか。

「毎日、夢野さんの音を聞いていたサボテンは今頃寂しがっているだろうね」

「あぁ、そうだ。僕の家にまた来てね。今度はヴァイオリンの音を聞かせて欲しいな」

「……不二。また来てってどういうことだい?」

「あぁ、夢野さん。一度家に来てくれたことがあってね」

一見にこやかに会話を進められているお二人だが、真ん中に挟まれている私からすると、お二人とも全然目が笑ってない。
だから怖い。
不二さんに至っては、いつもより鋭い瞳が見える。


「おっほぅ……」

「え?どうかしたかい、夢野さん」
「大丈夫かい?日差しが強かったかな……」

同時に私を心配してくださるお二人には悪いが、そこまで気が回るかたたちならば、お二人が放つ威圧感にも気を回してください。


「……男の子二人に挟まれるだけでもキツいのに……熱が上がって人体発火しそうですとろいやー」

「「夢野さん、もう既に頭の中溶けてるよ」」

……とりあえず優しい笑顔のお二人は、辛辣なことが多いであります。

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