50万筆頭祭 | ナノ

――三成さんが私の中で恋愛面での特別な男性になって、もう数週間が過ぎました。

あの不器用な愛情表現の優しい甘さを知ってしまってから、私は三成さんといるだけで呼吸が苦しくなる。
おかしいぐらいに胸が早鐘を打つのだ。



「……夢子、そんなところで何をしている?」

「ふわっ?!み、みみ三成さんっ!」

どうにか三成さんと二人の時間を過ごしたいと洗面所で思案していたら、まさかのご本人登場でひどく焦りました。
前述した通り、私の鼓動はもはや爆発寸前。

バクバクと大きくなるそれが、三成さんに聞こえてしまうのではと、恥ずかしくてギュウっと瞼を強く閉じる。
胸の前で組んだ手がガクガクと震えているのもわかった。

「……夢子」

「は、はいっ」

「…………最近特に様子がおかしいが、貴様……やはり私を選んだことを後悔しているのではないのか」

「……え?」

少し沈んだような三成さんの声に、目を見開く。目の前には苦々しいような悲しそうな表情の三成さんがいて、それをみた私は瞬間的に心臓が凍るような感覚に襲われた。


「……ち、違いますっ!そんなこと、絶対にありえませんっ」

「っ、夢子、な、何故泣いて……?!」

三成さんに飛び付いて、男性にしては細過ぎるその身体を強く抱き締める。

「ふ、ぐすっ、ごめ、ごめんなさいっ、三成さん……っ!私、三成さんが大好きです、すごくすごく大好きなんですっ!日々、その想いが恐いくらいに増長していて……っ、三成さんのそばにいると死んでしまいそうなぐらい……愛しいんですっ」

「〜っ、わ、わかった!わかったから泣くな!貴様が泣くと、私は理性を見失うっ!!」

抱きしめ返して下さった三成さんは私の耳朶を強めに噛まれた。
その痛みが、何故だか心地良い。

「……愛している」

「三成さん……」

「夢子、貴様が私といて高揚するように……私も夢子と共にいると、必死なのだ。……っ、夢子が私のモノだと、常に刻んでやりたい……っ」

私が緊張して鼓動がおかしくなるのは、その愛を感じていたからかもしれません。

重ねた唇から伝わってくる熱。
いまだ踏み込めていない領域に達する関係を悟って……



「……ヒヒ、どうした二人とも」
「あー、小生らのことは気にせず続けてくれ」
「……ここでするなら、許可してあげてもいいよ。特別にね。三成君」


…………今しばらくは、この緊張感が続きそうですが。

大好きです!三成さん!!

  
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