「いえ、きっとジャッカルさんの魅力は大人になってはじめてわかる魅力なんですよ!丸井さんもそりゃあモテるでしょうけど、大人になったらきっとジャッカルさんも」 そう言った夢野に腹が立ったのか、モテるのは肯定されたからか嬉しかったのかよくわかんねぇけども。 妙な気分になって、作ってた料理の手を止め夢野の肩に顎をのせた。体をそのまま後ろから抱きつくように預ける。 ……細ぇ。 ちゃんと食ってんのか、この馬鹿。とか思いつつ、たしか仁王が胸はけっこうあるとか言ってたなぁと思ってちらっとみたら、確かに腰とか腕とかの割に大きめだと思った。 俺の行動に変な奇声をあげた夢野にそこはもっと可愛らしく「きゃっ」とか恥じらえよぃと思ってたら、ジャッカルに回収された。 む、ムカつく! ジャッカルのくせに! さっき誉められたからか、理想の旦那様言われたからか知らねぇけど、ジャッカルのまとう空気が嬉々としたもので、花がふわふわ飛んでんじゃねぇかとおもったほどだ。 イライラする。 何が理想の旦那様だ! 絶対俺の方がすごいって言わせてみせるぜ! 覚悟しろよぃ。 「……っ、お、美味しい!え、丸井さん、すごく美味しいです!!」 「へへんっ!だてに腹空かした弟たちに毎日ご飯作ってやってねぇぜい」 「え、弟くんたちがいるんですか?」 「あぁ!けっこう年離れてるけど、可愛いんだぜ!俺の弟だからなっ!!」 「ぷふっ」 俺の料理を食べて感動したらしい夢野に胸を張った。 さらに弟たちの話も食いついてきたから、自慢してやったら何故か吹き出される。 「な、なんで笑ってんだよぃ」 「あ、いや!弟くんたちの話をするときの丸井さんって可愛いなって思って……、ほらなんか、子供ができたら、すごく大事にして、日曜日とか毎週遊んでくれそうなお父さんになるんだろうなって想像しちゃって。イクメンってやつですねっ!」 楽しそうに笑う夢野はずりぃと思った。 まだ中学生だし、子供ができた時のことなんて全然想像つかねぇんだけど、相手が夢野だったら、なんか毎日騒がしいけど笑いの絶えない家庭が築けるんじゃねぇかなとかぼんやり考えちまって、途端にニヤニヤしちまう口許を必死に手で押さえる。 「……でも、奥さんになる人大変だろうなぁ。子供が増えるみたいな……それも可愛いけど」 一瞬子供が増えるってなんだ?って思った。 暫くして、旦那が子供みたいで大変なの、とかいう台詞をどっかのドラマで言っていたのを思い出す。 「お前ほんとムカつく!」 とりあえず、夢野の髪の毛を引っ張って料理の邪魔をしてやった。 続・理想の旦那様![ 15 / 64 ][ 戻る ] |