「?!ジャッカルさん、魚をさばくの上手すぎやしませんか!」 「へへん、この魚も素手で捕まえたんだぜ!ジャッカルが!」 「なんで丸井さんが偉そうなんですか」 先日忍足先輩の魚の下ろしかたに感嘆の声をあげたところだけども、またジャッカルさんの魚のさばきかたに感動していた。 私とジャッカルさんの間に仁王立ちして偉そうな丸井さんに変な顔をして見る。 「ジャッカルは俺のダブルスパートナーだからだろぃ!てかなんだよぃ、その変な顔」 「黙々と作業するジャッカルさんがかっこいいのに丸井さんは作業しないんだなー天才的な料理見れると思ったのになーって顔ですたぶん」 「み、見てろよぃ!」 たぶんって言ったけど、丸井さんはまな板に向かって野菜を切り始めた。私の作戦大成功である。 「……お前、ブン太の扱い上手くなったな」 「そんなことはないです。ですがジャッカルさんは本当にいい男ですね」 心が広いし、魚もさばけるし、普段も落ち着いて行動できる人だし。 「……っ?!もしや女性の理想の旦那様像第一位はジャッカルさんなのでは!」 忍足先輩みたいに多少太っても怒らなさそうだし、買い物にも付き合ったり、荷物もちゃんと持ってくれてり、たまに家事を手伝ってくれたり。喧嘩しても大概のことは奥さんの意見を尊重してくれそうな気がする。だってあの丸井さんのダブルスパートナーである。 「夢野、全部声に出てるぞ……いや、その、ありがとうな。そう言ってくれて……女子にそんな風に言われたのは初めてだ。自慢じゃないが俺はブン太みたいにモテないからな」 「いえ、きっとジャッカルさんの魅力は大人になってはじめてわかる魅力なんですよ!丸井さんもそりゃあモテるでしょうけど、大人になったらきっとジャッカルさんも」 「お子ちゃま代表がなにいってんだよぃ」 照れるジャッカルさんが可愛くて鼻息荒く力説したら、右肩の上に丸井さんが顎をのせて、私に覆い被さってきた。 あまりの近さに奇声をあげたら、ジャッカルさんが丸井さんを取り外してくれて。 「いつもブン太がすまん」 苦笑だったけれど、白い歯を見せて笑ってくれたジャッカルさんが眩しかった。 理想の旦那様![ 11 / 64 ][ 戻る ] |