庭球連載番外編 | ナノ


「うわぁ痛そう……」

「ふしゅうぅ、別にそこまで痛くはねぇ」

薫ちゃんの肘の怪我を覗き込んでそういったら、思いっきり顔を反らされた。

なんだ。
なぜなのだ。

「薫ちゃん?」

「あ?」

ちゃんと返事はしてくれるので、いつもの薫ちゃんといえばそうなのだけど、ちょっと様子がいつもと違う気がする。

「私が何かしたかね?」

「してねぇ。……あ、あんま近付くな」

ふしゅうーと息を吐き出す薫ちゃんはやはり怪しい。
ほんのりと頬が紅潮している気もする。
……はっ!熱が出てるのでは?!

「そういうわけじゃねぇから、心配するな」

「えー、でも……」

「そ、それより!ば、絆創膏とかないのか?ほ、ほら、いつもの」

「パンダママシリーズ?!」

「あ、あぁ」

これには感動した。
あんなに文句を言っていたので、てっきりパンダママの絆創膏は嫌がられているものとばかり思っていたが、薫ちゃん、実は気に入ってくれていたなんて!

「ち、ちがう。いや、そうじゃなくて……はぁ」

今度は重い溜め息だった。
薫ちゃんにパンダママの絆創膏は今はないことを伝えて、跡部様に聞いて普通の絆創膏もらってくるねと伝える。

不機嫌そうに返事をしてくれた薫ちゃんは、怒っているような顔をしていたけれど、やはりどこか優しくて。

その時には薫ちゃんが私をまともに見ない理由を聞くのを忘れてしまったのだった。



(……昨日の切原のせいだ。変な想像しちまった……くそっ)



「それにしても薫ちゃん怪我多いよね。ドジっ子の称号を捧げよう!」
「夢野、てめぇは本当にお気楽馬鹿だな」
「お気楽馬鹿?!」

薫ちゃんとパンダ

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