「……あぁ、緊張する……」 ブツブツと同じ台詞を繰り返している私は、極度の緊張の為、手に汗を大量にかいている。 背中も既に布が張り付いているような嫌な感覚があった。 「……ダメだ、逃げよう」 「何言っとるんや、パンダ」 周り右をして人混みの中に逃げ出そうとした私の襟首を光くんがガッと勢いよく引き寄せる。おふ、あまりの力強さに首が締まって三途の川が見えた。 何故、光くんが私のことをパンダと呼んでいるかと聞かれれば、今私たちはEveさんと初対面することになっているからである。人生初の計画的オフ会です。どんどんぱふぱふー。 「だが緊張で死にそうだ!」 カッと目を見開いて叫べば、駅前の大通りということもあって、通行人の人に変な視線を向けられた。その上、光くんに後頭部を軽く叩かれる。 「あー、ほら。eleven発見っすわ。ふぅん、あれがEveか」 十次くんとEveさんが既に待ち合わせ場所であるガラス時計の下にいたらしい。 ど、どんな人なんだろうか。 Eveさんが気になって、光くんの背中に隠れていた私はそろっと顔をのぞかせて見せた。そして驚愕する。 「パンダ!!」 「はぁ?何言うとるん。パンダは自分やろ」 「彼はEveだ」 「……どうも…………何か固まってるから俺が挨拶してみたけど……一体何なんだよ」 小さく会釈するように頭を斜めにしたEveさんらしき人は、確かに想像通りの声と話し方だったけれども。 どう観察しても、パンダである。 だいたい人間はこんな毛むくじゃらじゃないし。明らかに動物だよ。むしろ絶対二足歩行しているパンダだよ! 「どんなドッキリなのさ?!」 《パンダ:と叫んだところで、ベッドから落ちて目が覚めたわけですよ》 《善哉:意味分からへん》 《Eve:……大体、なんで俺がパンダなわけ。正直、そんな夢を見られたってことが不愉快なんだけど……バカにしてる?……やだな、俺だけ会えてないからイヤミってやつかよ……》 《eleven:ま、まぁ。夢見るぐらいEveに会いたいってことだろ》 《パンダ:そ れ だ !》 文字を打ち込むと同時に誰もいない部屋の中で叫んでいた。 《Eve:悪い気はしないけど、……パンダの姿で想像されるのが微妙なんだよね》 《善哉:eleven一回紐なしでバンジージャンプせぇよ》 《eleven:死ぬけど?!》 《パンダ:ところでもう眠い》 おやすみなさい!と打ち込んだら、三人から《パンダが自由過ぎて辛い》みたいな文章を打ち込まれた。 …………そりゃあパンダは動物だから自由なものだろうに。 とりあえず眠気に負けたのでそのまま電源を落としたのだった。 ――――――――― 真実様へ。 何かリクエスト内容とはかけ離れた感じになってしまったかもですが……っ 実際にeveくんと出会う話は本編をお楽しみに、です! Eveさんに会いたい願望が溢れた夜[ 48 / 64 ][ 戻る ] |