嫌われているのかもしれない
「…………」

「……あ、切原くん」

山吹の壇くんとドリンクを配っていたら、続々と人が受け取りに来ていた。
試合のペースが早いのは一セットしかないのも原因だが、この合宿で手の内を見せないようにしている人も多いようだ。全部データ収集が趣味という、一歩間違えれば犯罪者の乾さんと柳さんの発言からですが。

そんな中、跡部様との試合を終えたらしい切原くんがずっと私を睨みながら立っていた。

跡部様の分は、いつの間にか壇くんから二本受け取っていた樺地くんの手によって運ばれている。ちくしょう、何あの絆。簡単に踏み込めない……っ!もう一つ付け加えると樺地くんのように二本受け取って甲斐甲斐しく宍戸先輩に届けていた鳳くんもだ。彼は宍戸先輩の忠犬である。


「……えっと、切原くん。お疲れ様、どうぞお受け取り下さい」

「……お、おぅ。……ちっ!」

睨まれてるのが超怖かったけれど、勇気を振り絞って切原くんにペットボトルを手渡した。
受け取ってくれたけど舌打ちとともに走っていってしまう。
一瞬、乾先輩の変なドリンクを手渡してしまったのだろうかと思ってしまい生命の危機を感じたが、そんなことはない。確かに私が作ったやつだった。

「…………立海で、嫌われるようなことをしたのかな……私」

思い出せないだけで、切原くんをイラっとさせちゃったのかもしれない。ちょっぴりブルーな気分に陥っていたら、不意に「それは違うだろぃ?」と背中に声をかけられる。

慌てて振り返ったら、さらに驚いた。

「こ、ここ黒人さん!せ、拙僧は英語が苦手です!」

岳人先輩よりも目立つ赤い髪の人と、褐色の肌が眩しい……否スキンヘッドが眩しい人が私を見ていた。

……この人たち、立海の先輩たちだ。と気付いたのは「ああアイムソーリー!」と馬鹿みたいに叫んだ後だった。……恥ずかしくて穴を掘ろうとしたら、赤髪さんに爆笑されました。

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