とりあえず最終確認や。ゴンタクレの金ちゃんのことやから、忘れ物も多いやろう。俺が注意しとかなあかん。オサムちゃんはアテにはならんしな。
何度も繰り返す内にいつの間にか深夜やった。
あかん、早よ寝な。
時計を見てそう焦った後、不意にその横に置いていたハンカチが目に留まった。
女の子用の可愛らしいハンカチは、東京の氷帝に行った時にもろたヤツや。
「……あかん、もうあの子の匂い、消えてもうたわ」
無意識に匂いを嗅いでた。なんでやねん。俺、いつの間に、そんな変態なってもうたんや。
でも……
洗えんかった。
あの子の匂いが優しすぎて。
「……お守り代わりに、持っていこ」
なんや、ハンカチ持ってたら、あの子にまた会えそうな気がしてん。
……笑えるけど、な。
(side 白石蔵ノ介)
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