01


 
 
ルビーside

 ユミは押し黙ってしまった。

 ユミは決断力が無いからというのもあるのだろうが、自分を過小評価し過ぎる所がある。

 ユミは昔からそうだ。

 僕のホウエン引っ越し当日の家出に着いてきた時も、そうだった。

 途中から『私はルビーの邪魔になりたくない』と言って、消えてしまった。

 僕に似て、自分勝手なんだから……。

 どうすればユミは来てくれるだろうか……、と考えていると──。

「行こうったい! 皆良い人とよ! すぐに馴染めると!!」

 と、サファイアが元気に満面の笑みで言う。さっきの嫌悪した空気はどこへやら。

 そうか……、サファイアなら……。

 ユミは本当に僕に似てるから、サファイアならユミの背中を押せるかもしれない。

「私は……いいよ。行かない」
「え……?」

 てっきり行くものだと思っていたサファイアは驚きの表情でユミを見た。

「どないして!?」

 こうしてサファイアが驚いた顔を見ると、一緒にホウエンを守ろうと言われて僕が断った時の事を思い出す。

 思わずくすりと笑ってしまう。

「だって、図鑑も持ってないし……バトルだって弱いし、それに──」
「それがどうしたったい」
「え?」
「それがどうしたったい、って言ったと」

 サファイアはやはりあの時の様──幾分か優しめか──に凄い剣幕でユミに迫る。

 やはりあの時の僕をなぞる様に唖然としているユミ。

「え、あの、え?」
「人に会うのに資格なんていらんち。あたしはコンテストはやったことなかし、あまり好かん。だからってユミちゃんはあたしと会いたくなくなると?」
「! ………ううん」

 大きく目を見開いた後、静かに笑うユミ。

 ……良かった。ユミは自信を取り戻したみたいだ。

「それに、ルビーの妹、あたしの友達、理由はいくらでもあるけん」

 サファイアはユミに無邪気に笑いながら言った。

「……うん!」







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