01


 
「………………ハァ?」

 女の人はそんなバカな、といった感じだ。

 それはそうだろう。今までルビーの家に居なかったし。

 ……ま、実はたまに居たけど。

「ユミです。お兄ちゃんが何時も御世話になってます」

 ペコリ、と礼儀正しく頭を下げた。

 女の人も訝しげな顔をしながらもそれにならってくれた。

「ホントにこんなしっかりした子がルビーの妹なんと?」
「今は旅をしてるんだよ」

 私の代わりにルビーが依然としてしれっとした様子で言う。

「たまたま近くに来たので、休むついでに寄ったんです」

 続けて私が笑顔でそう言うと、女の人は押し黙ってしまった。

「…………信じて……くれません……か?」
「(か、可愛いか!!)」

 と、思ってる事は梅雨知らず。

 女の人がプルプルと震えて、私から目だけで無く、顔を反らす。

 すぐ隣からプッという音がしたのは気のせいじゃないだろう。

「……分かったと。信じるたい」
「妹じゃなきゃ、サファイア以外入れないよ」

 と、ルビーがニッコリと笑顔で言うとサファイアと呼ばれた女の人は、真っ赤になった。

 ……まるで、リンゴみたいだなぁ。

「せ、せからしか〜!!」

 せからしか──確かうるさいという意味だったか。

 真っ赤な顔して全否定するサファイアさんに私は可愛いと思った。

「恥ずかしがらなくてもいいのに」

 くすくす、と笑いながら少し意地悪く私がそう言うとサファイアさんがより一層赤くなるのを見て面白いと思ってしまった。

「あ、そうだ。ユミ、図鑑所有者に会いたいって言ってたよね」

 いきなりコロリとルビーが話題を変えるのでちょっと拍子抜けしてしまう。

 ……もう少しサファイアさんで遊びたかったな、と思う私は悪魔だと思います。

「? うん」
「明日、集まる事になってるんだ。行かないかい?」

 それはすごく嬉しい話だ。

 ……ただ、私なんかが行って良いのだろうか。


 こんな記憶の欠けた子供が。





to be continue...



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