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「んっ、ぅ…」



風呂に入って飯食い終わって明日は休みだなぁとか部屋のベッドで寛いでたら急に雅兎が部屋に入ってきた。
相変わらずの自分至上主義だからいつもノックしねぇ。
最近は慣れてきたけど勢い良くドアを開けるもんだからその音に驚いてたら急に俺の上に跨がってキスしてくる。
お前、いきなり部屋入ってきて何すんだよとか思ったけど直ぐにそんな事も思えなくなる。
こいつはキスが上手い。
自分で言ってたぐらいだしな。夜の帝王だとか何とか。
前は結構遊び回って経験豊富だからなー。俺と違って。
キス1つでもう頭がぼーってしてきた。
舌絡めて吸って甘噛んでまた吸って。
唾液を口に流し込まれても飲み込む余裕とかねぇから口から垂れ流し状態。
離れてく濡れた唇をぼんやりと眺めてたけど雅兎が手に持つものに視線を向ける。
それ、俺の携帯なんだけど。

「んー…、あった」

弄ってから携帯を耳に当ててる。
もしかして電話してんのか?でも誰に…

「……よぉ。今から良い思いさせてやるから部屋に来い」

用件だけ述べて電話を切った雅兎と目が合う。口許に悪い笑み浮かべやがって。嫌な予感しかしねぇ。
今、誰か部屋に呼んだよな?俺もうキスでメロメロ状態なのに。
しかも俺の携帯のメモリーから電話したよな?
まさかとは思うけど、こいつはそのまさかを簡単にやってのける。
呼吸が整ってきたのに心拍数が上がってんのが分かる。
そして1分も立たないうちにインターホンが鳴った。
こんなに直ぐに来れるって事はこいつは本当にまさかをしたのか…!

「汰狼、良い子にしてろよ」

唇に少し吸い付いてから離れて雅兎は部屋を出ていった。
出来る事なら逃げ出したい。
今の状況で会うのは無理だ。
雅兎っお前なら気付いてんだろっ!
もうキスだけでちょっとちんこ勃ってんだよっ!
気持ち良かったし何よりも期待してたんだから仕方ねぇだろっ。
取り敢えず無駄な抵抗と分かっていても体を丸めて布団を頭から被って隠れた。

「汰狼ー、お友達が…テメェ、何してんだよ」

「………かくれんぼ」

「ふざけんな」

雅兎の声が若干苛ついてるけど気にしねぇ。
今は隠れたいんだよっ!
でもやっぱ無駄な足掻きで凄ぇ勢いで布団を剥がれた。丸まったまま視線を向けた先には予想通りの人物が無表情で立ってる。

「よ、よぉ。獅希」









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