ONE PIECE | ナノ


ずるいから好き

「ね、ねぇ。サボ君?近いんだけど」
「ん?……嫌?」
自信満々に甘く笑う。なんで君はそう余裕そうなのかなぁ……。私の方が1つ年上な筈なんだけど。
「……別に嫌じゃ、ないけど」
革のソファーの上。ごろんと横になって、今日の新聞をチェックしていたところ、上からサボ君の顔が降ってきた。
いや、生首とかそういうことじゃなくて、それぐらいびっくりしたってことだ。新聞をどけられて顔をぬっとだされたんだから驚くのは仕方ない。
「今日、なんか面白い記事あった?」
気だるげに欠伸をしながら尋ねてくる。パラパラと見返してみるけど、……今日は特に何もなかったかなぁ。
「うーん……そうねぇ。サボ君が興味あるとしたら、アラバスタ王国の復興についての記事ぐらいじゃない?」
ルフィ君がクロコダイルを倒したというニュースを見て、大急ぎで調べて調べて調べた結果、ルフィ君がアラバスタの姫を助けたとかどうだとか。ことの真偽は分からないものの、暫くは何故かサボ君が誇らしげにしてたっけか。
だからサボ君にとっても、気になるニュースだろうと思ったのだ。
「おお、あの国も新聞に取り上げられるようになったんだな!」
案の定、嬉しそうにはしゃぐ。こうして見ていると、とても革命軍の幹部には見えないんだよなぁ。ほんと、人って見掛けによらないよね。
「見る?」
「おう、さんきゅ」
ぱさ、と新聞を閉じて渡そうとすると、サボくんがわざわざ丁寧に新聞を退けて、私の上に乗っかってきた。ソファを軽く乗り越えてきたらしい。
「なに、サボ君。重いんだけど」
「別にー?」
「じゃあどいて」
「やだ」
笑いながらそう言うと、サボ君は押し付ける感じでキスしてきた。軽いリップ音と共に顔が離れる。って言ってもまだ至近距離に変わりないから、鼻先10cmも離れてない。
「なんで?」
思ったことをそのまま口に出すと、
「そんな気分」
としか返事が来なかった。サボ君ってば、なんなのさ。
「もう一回していい?」
「サボ君が許可取るなんて珍しい」
「いつも怒るからたまには」
「……あっそ。お好きなようにどうぞ」
無駄な抵抗をするのも面倒になって、体の力を抜く。
「コアラも珍しく素直じゃん」
そうニヤリと笑うと、サボ君は予告通り、また同じことをした。
触れるだけの、俗に言う甘いキスというやつなんだろう。私にはキスの種類なんてよく分からないから、いつもされるがまま。いつも、サボ君は上手に触れてくる。

数回同じことを繰り返すと、サボ君は急に恥ずかしくなったのかなんなのか、頬を染めて照れ隠しのように笑う。

ああもう。この人のこの笑顔には敵わない。

サボ君って本当にずるい人だ。

…あとがき…
三日月様からのリクエスト「サボコアの話」。どうでしょうか。短いですね、知ってます。すみません(吐血)
お持ち帰りは三日月様のみどうぞ。
お題はこちらのサイト様から
確かに恋だった

更新(27/12/04)


[+bookmark | << |>>| back to top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -